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第15話:歳

「そろそろいい時間ですし、寝ませんか? 念のため、交代でもいいですが」と私が聞くと、「そうですね、寝ますか」と『セリア』が答えた。


 二人も揃って「寝ようか」といった、時間は二十四時に近かったからであった。


 とりあえず私は、起きる時間を早朝に考えて眠りにつくことにした。


 ただし何か物音がしたら、容赦なく刀を抜くと心に決めて。


 朝起きる時間は大体、師匠の修業が始まっていた時間に体が起きてしまうのであるそれが約五時であった。


 二十四時から翌朝の五時までには、寝ていたことになるのであるが。


 眠りが浅かったせいもあり、少しの物音でも起きてしまう癖を持っていた。


 だがしかし、その日は特に起きはしなかった。


 つまりみんなぐっすりと眠っていた、ということになる。



 私の場合、村の中に居るからといっても完全に信用することが出来ずに気が張っていたせいでもあった。


 だが、特に何も起きなかった。


 まあ先に起きたが、瞑想めいそうふけっていたというのが正しいだろうか。


 荷物を降ろして背中のバスタードソードも一旦外し、腰の刀も外しておいて足だけみんなと同じ方向に伸ばしていたのだ。


 私が足を延ばすスペースは合ったわけで、そういう意味では問題は無かったのであった。


 実際には起きた時間が四時半頃だったので、私が一番早かった。


 カタナを帯刀しバスタードソードを標準位置に付け変えた。


 荷物の横にバスタードソードの剣吊りは付属していたので荷物の右側面から右腰に吊る事に変更したのだ。


 それくらいの、変更であった。


 サーコートはそのままであり、さすがアレだけの値段がしているだけあってしわにもなら無いのである。


 不思議な素材で、できているのだなと思う。


 考えを中断し、瞑想にしばし入ることにしたのであった。


 五時半まで、ゆったりとした瞑想をしていた。


 五時半までにはみんな起きてきて、みんなで保存食という時間になった。


 六時には出るということでみんな遅くても、五時四十五分からは朝食を“モッシャモシャ”食べていたのである。



 私は早くに食べ始めたため、早くに食べ終わった。


 足回りの確認をすべく、幌馬車から一時だけ降りて足の屈伸運動などを行っていた。


 そのため早くから『キルヒャ』さんと合うことは出来た。


「おはようございます、『キルヒャ』さん」というと「おはようございます、昨日は何と言って、お礼を言えばよいのか」といわれてしまった。


「パーティーのみんなで、頑張ったからですよ」と答えておいた。



 パーティーと聞いて「みなさんはパーティーになられたのですね、パーティー結成おめでとうございます。みなさんは、揃っていますか?」と聞かれた。


 出発前の、点呼のようであった。


「一人の欠けも、ないはずですが」と私はいって荷台を覗くとみんな揃っていた。


「揃ってますので、私も乗り込みますね」といって、幌馬車に上がって行った。



「キルヒャさんの、点呼が終わりました。先頭車が大丈夫だったら、出るんじゃないでしょうか」といって、奥の『セリア』の隣で『ウィーゼル』の隣に腰を下ろした。


「そういえば……、んー忘れてくれ」と『ゲルハート』に何かわからないが、聞かれた様な気がした。


 『セリア』が気が付いたようだった「そういう時は、聞いた方が楽よ? 『聞くは一度の恥、聞かぬは一生の恥って』言う言葉が、有るでしょう? 今の『ゲルハート』が正にそれよ、確かに聞きにくいのでしょうけれども。それなら、私が聞こうかしら。『ウィオラ』さん、今おいくつ?」と、聞いて来てくれたのである。


「まだ、成人したばかりですから十五です」と私がハッキリというと、『セリア』がいった「ちなみに返礼で答えておきますが、私は十七歳。二十歳は超えて無いので、安心して」といったのであった。


「済まん。俺はまだと言うか、もう二十になる。今はまだ十九だが、多分この旅の途中で二十になるだろう」と『ゲルハート』がいった。


 すると『ウィーゼル』がいった「この業界、珍しいこっちゃない。俺なんてもう、二十四歳なんだぜ? 見えないだろう?」という。


「確かに見えません、最初お会いしたときは二十になるくらいかと思いました」と私が正直に答えた。


「この業界、見た目で歳は判断できないのよ」と『セリア』がいった。


「コレは覚えておいて、損はないわよ」と追加したのである。


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