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第8話:盗賊の読み

 一日目が始まった、十五時からである。


 夜通し走り続けるモノとも思ったが、そうではなかった。


 シェリフ村の前で、まだ村には着いていなかったが休憩を挟むらしい。


 私たちは、困惑していた。


 まだ村には入ってない、しかも街道から少し外れて休んでいるのだ。


「街に寄らないのか寄れない様な荷物でも、運んでいるのではないか?」と拳を“ボキボキ”いわせながら『ウィーゼル』がいった。


「これでは、襲ってくれといっているようなものじゃないか」『ゲルハート』とも黒い鞘でおおわれたグレートソードを、いつでも抜けるような態勢にしながらいった。


「勇み足、過ぎたのでは?」と私もバスタードソードを、荷物から降ろしながらいう。


「『キルヒャ』さんは荷物も軽装で、とても旅慣れている様には見えない」と続けた。


 時間を確認すると、二十一時だった。


 走り出してから、丁度六時間だったのだ。


 距離的には、エフェメリスまで六時間、シェリフまで八時間ほどの場所である。


 街道の端の休憩所で休むならともかく、街道から少し外れればモンスターだって夜間には徘徊はいかいするのだ。


 『セリア』がいった「告げて来ましょうか? 村まで入ったほうが、安全だと」と。


 幌馬車の外に出ようとする『セリア』に、私がいう「何が居るか分からない、暗いから気を付けて」と。


 そして『セリア』先頭車に行くために、外に出た。



 すると『ゲルハート』が薄明りの中で、地図を出しながらいった。


「『ウィオラ』、君が山賊さんぞくの頭領ならどこで仕掛ける予定だった?」と。


 それに答えるように、地図を示しながら「アマルテオに入る前か、出て休憩を取ったところ。それか、マルテラに辿たどり着く前かな?」といったわけである。


「良い勘してるな、俺もそこら辺りだと踏んだ訳だったんだが」と『ゲルハート』が同じように地図を指し示しながらいった。


 『ウィーゼル』も頷いていた、同意の様だった「俺もその辺りだと思ったんだがな」といって三人で悩んだのだった。



「ひょっとして、野営のために雇われたのでは?」と私は、頭を切り替えていった。


「隊商と一緒に歩くのが、普通だからか。載せて行くということは、別と考えた方が良いか」と『ゲルハート』は、大振りのダガーの用意をしながらいった。


 『ウィーゼル』が腕を組みながらいった、「今はどちらにしてもリーダーが持ってくる情報待ちだな」と。


「四交代で休みませんか? 二交代でもいい」と私が告げた。


「山賊がこれを知っているなら、ここで襲うよりも、もっと先の夜中襲ってくるはず。まあいずれにしても、リーダーの持ってくる回答待ちではあるのですが」と私がいった。


 そこへ、リーダーの『セリア』が帰って来た。


 幌馬車に引き上げ、垂幕たれまくで隠した。



 『セリア』は、はなしだした。


「以前もこのパターンだったそうで、タイミングが合えば町や村には入るのだそうです。因みに、休憩時間は九時間。以前も襲われ無かったから、今回も、このパターンで行くようです」と腕を組み、考え込みながらいった。


 聞いた瞬間『ゲルハート』がうなった「どれくらい続けているか、聞いたかい?」と聞いたのであった。


「えぇ、聞いて見ました。このパターンが、安定してるそうです。すでに五回は同じパターンで走って居る、と自慢していましたから」とリーダーの『セリア』がいった。



『ウィーゼル』がいう「俺の勘じゃ、もうぞくには手の内が分かってるな」といいながら後ろ頭をかいた。


「六回目ですか? これは盗賊とうぞくの間でも、狙いどころが分かれますけど。襲われるのは、確定ですね」とため息交じりに、私はいった。


「盗賊同士に交流が有るなら、もうどこは誰の区分。ってところまで、決まってますよ。しかも、不意討狙いで」と私は髪を編みながら、続けた。


「まだここでは仕掛けずに、疲れが極致きょくちになる、サライの近辺だろうなぁ」と『ゲルハート』、「まだ、円陣組んでるだけマシですよ。仕掛けるのは、どこでもできますから」と私はバスタードソードの結びを解いて、いったのである。



「でさっきの話に戻りますけれども、二交代制で休憩しませんか?」と私は、野戦の準備をしながらいった。


 『ゲルハート』もその他の装備を準備しながらいった。


「分割ラインは、俺と『セリア』の二人組に『ウィーゼル』と『ウィオラ』の二人組が一番安定するのか?」と。


 『セリア』がそれに頷きながら答えた「そうですね。魔法戦力と前衛戦力を分けないと、話になりません。『ウィオラ』さんと『私』は分けないといけませんし、『ゲルハート』さんと『ウィオラ』さんは分けないと、戦力比が出てしまいますものね」といった。


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