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第7話:隊商出発

 五人目がやって来た「依頼主様でいらっしゃいますか?」とキルヒャを見ていう。


 まぁ明らかに冒険者には見えない姿なので、依頼主にしか見えないのだが「『キルヒャ・ミカエル』と申します、グラント商会の執事です。今回も、旅に同行します」としっかり答えた。


「向こうのテーブルで、四人パーティーを組んでいるものです。私が、リーダーを務めている『デュイーン』と申します。戦士二、神官、術士の構成で、まだランク二なのですがいかがですか?」といった、ランク二といえば駆け出しより少し慣れてきたといったところではあるのだ。


「十日ほどになりますが、大丈夫ですか?」と『キルヒャ』、「長旅には慣れていますので、大丈夫かと思います」と『デュイーン』がいった、「では、お願いしましょう」と『キルヒャ』がいう。


 デュイーンがテーブルの方に向かってサインを出した様だった、テーブル側の三人から了承の意と思われるハンドサインが出た。



 六人目が来ていた、「依頼主様とお見受けしますが、合ってますか?」とキルヒャにいった。


 騎士風の鎧を着込んだ、青年だった。


「私は『グレイデル』、騎士をしています。まだランクは高くありませんが、ウチのランク二パーティーを、戦列に加えてもらってもいいですか?」とも付け加える、『キルヒャ』から質問が飛んだ「パーティー構成は、どうなっていますか」と『グレイデル』答えた「騎士、侍、法士、呪符使いです。まだ組んだばかりなので、少し息は合いませんが」と答えた。


 まるで見本市のような、パーティーである。


 ここは西方に近い、ヴェルゼニア王国の大都市である。


 東国の者が三人とか、中々凄いなと思わせるだけのものだらけであった。


 『キルヒャ』が答えた、「良いでしょう、時間も押し迫ってますし」と。


 確かにキルヒャがいう様に、時間は残り三十分しか無かった。


「『グレイデル』さんは、パーティーのリーダーですか?」と『キルヒャ』が聞いた、『グレイデル』が答えた「はいそうです、西方にある程度詳しいものが私しか居ませんでしたから」と。



 『キルヒャ』が動いて、こちらを向いた。


 そして『キルヒャ』はいった「パーティーリーダーを、決めておいてください」と。

 その瞬間しゅんかん私は「戦術に詳しそうな、『セリア』さんを推す」と、他の二人『ゲルハート』も『ウィーゼル』も「異論いろんはない」といった。


「『セリア』さん、よろしくお願いしますね」と私がいう。


 『セリア』がそれに答えた、「お任せください、みなさんを存分ぞんぶん活躍かつやくさせます」と全員一致ぜんいんいっちで、パーティーリーダーが決まったのであった。



 その様子を聞いていた、『キルヒャ』はいった「やはり手練てだれのみなさまは、目線が違いますね」と。


「自分の命もそうですが、荷物を守れないのは一番不味まずいですから」と私が即、答えた。


 それには、みんな同意したようであった。


 みんな一緒にタイミングよく、うなづいたのである。



「みなさま受け札を私目わたくしめにお渡しください」と『キルヒャ』がいいみんなから札を回収して行った、そして依頼表を外しマスターに渡し札と表の貼り付け板を返却していた。


「ランク三パーティー一、ランク二パーティー二で出発します」と『キルヒャ』がマスターにいった、旅の安全を祈るとマスターが答えた。


 ランク二パーティーはまだ少しもたついていたが、我々のパーティーはいつでもみながみな出られる体制で待っていた。



 外で“ガラガラガラガラ”と重量のあるものを載せた馬車が出す、結構な音がした。



 私は立ちあがった、同列にみな立ちあがる。


 キルヒャを先頭に、みな並んで出ていく。


 私たちもセリアを先頭に、出て行く事にした。


 順的には、セリア、ウィーゼル、私、ゲルハートの並びだ。


 これを逆にした物が、戦闘時の並びであると告げていた。


 ランク二パーティーはそこまでは考えていなかった様で、リーダー、サブリーダー、前衛、後衛の順で出て行っていた。


 私たちは、真ん中を任された。


 前にも後ろにも、展開できるからである。


 先頭車は騎士グレイデルのパーティー、後方車はデュイーンのパーティーであった。



「頭のよく回らない山賊とかならいいんですが、まぁ伏兵はいますよね。」と私がいった、『セリア』が答えた「でしょうね」と。


 そして私たちは、五号車の後ろから幌馬車に乗った。


 最後尾にデュイーンのパーティーが全部乗ったことが伝わると、幌馬車は走り出した。


 一路、ラームリッツァを目指して。


 一応、時間が分かる様に時計が各パーティーの居る場所に積んであったことを記しておく。

 また荷物には帆布がしっかりと掛けられており、中身が見えない状態だったことはいうまでもない。


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