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第6話:仮パーティー結成

 今回は荷物用のほろを被った幌馬車が、九台もある。


 先頭車は荷は軽いが冒険者が四人、二番目から四番目には御者ぎょしゃが居るだけで冒険者の護衛はおらず、商家の雇い人御者がそれぞれ座り荷は満載まんさいの状態、五番目には先頭車と同様に四人の冒険者が乗り込み、六番目から八番目には二から四番目と同じで、九番目にまた先頭車と同じ状態の幌馬車という構成であった。


 隊商護衛で歩かなくてもいいという良い条件の上、一ゴルトである。


 まあ十日で割るから、一日十シルズで少し高めではあった。



 そう考えていると次に来たのは、ガタイの良い戦士一人だった。


 ぱっと見ためはたくましい筋力と引きしまった体を持つ、闘士とうしタイプの兄ちゃんだった。


 得物は、グレートソードである。


 軽装鎧(ブレストプレートとバックプレート)と思われるものに、金属製肩当きんぞくせいかたあてせていた。


 足回りは普通のブーツらしく、特徴的とくちょうてきだったのは手甲しゅこうであり金属製きんぞくせいのがっちりとした物を付けており闘士というスタイルだなと考えさせるものであった。


 後はマントとボンサックであり、シンプルでとても男らしい装備であった。


 名前は『ゲルハート』と名乗っただけではあったが、比較的声もはっきりしており聞きやすそうではあった。


「旅の闘士だ、南へ行くついでに受けに来た」とのことである。



 私の持つ黄色い札を見て「君もかい? よろしくなお嬢さん」といわれたので「私は『ウィオラ』と言う、よろしくな『ゲルハート』殿」といっておいた。


 なるべく、声そのものは低めに出して。


 さすが闘士、二の腕の太さがまるで違うと思わせたが私は力ではなく速さで勝負するのだと思い、力はゆずることにした。


 『ゲルハート』は私の事を剣士か何かだと思っている様だった。


 間違いでは無いので、おいておくことにした。


 三番目に来たのは魔法剣士も珍しいが、神闘士しんとうしだった。


 神官戦士とは違い、基本素手すでで戦う格闘家? に近い職制しょくせいだったように思う。


 信仰は、正義の神サリーネであるらしかった。


 聖印の種類はそこそこ判るので、あまり苦労はしなかった。


「俺の名は『ウィーゼル』、よろしく依頼主殿いらいぬしどの」と礼儀は正しかった。


 四番目に来たのは魔導士まどうしだった。


 魔導士は似たモノを感じたので、構成は私とほぼ変わらないだろうと思った位である。


 少し違ったのは腰の見えるところに札のケースが有ったから、東方系魔術使とうほうけいまじゅつつかいも兼ねているのかと思わせるなりだった。


「私は『セリア』依頼主様におかれましては、よろしくお願い致します」と、ていねいなあいさつだった。



 五人が座れる円卓に依頼主と四人がつどった。


 このタイミングでなのか、依頼主殿がこちらを向いた。


 四人パーティーが、二組ほど依頼を見ていたからであろう。


「『ウィオラ』様、『ゲルハート』様、『ウィーゼル』様、『セリア』様お四方で仮のパーティーを組んで下さいませぬか」と『キルヒャ』が申し訳なさそうにいった。


「私は構わない『ウィオラ』だ、よろしく」といった、「俺も構わない『ゲルハート』だ、こちらこそよろしく」、「俺も構わない『ウィーゼル』だ、十日間と長いがよろしく」、「私も構いません。前衛がいてこその、後衛ですから。『セリア』ですよろしく」とみなであいさつをした。


 セリア嬢がいった「『ゲルハート』さんは戦士とお見受けできるのですが、『ウィオラ』さんと『ウィーゼル』さんはメインクラスは何ですか戦術を立てる上で重要になりますので是非ぜひお聞きしておきたいのですが、ご迷惑でなければ教えてくださいませんか?」といわれたので「私は魔法剣士を生業なりわいにしている」と答え、『ウィーゼル』も「俺は神闘士を生業にしている」と答えたのであった。


 一ランク一が駆け出しとすると、みなランク三ではあったので丁度パーティーになると仮定するならちょうどよかったともいえたのだ。


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