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第2話:旅の支度

 おこずかいだけでは旅の支度金にすらならないだろうといわれ、父と母から合計百ゴルト(金貨:G)も出してもらえた。


 旅にはそれだけ危険が伴うのでちゃんとした装備を持って行きなさいという意味であった、多分家が伯爵家だから出せた金額であろうとは推測出来たが、確かにおこずかい程度では武器も満足に買えなかったのは事実なのでありがたく受け取る事にした。



 師匠からは武器にするなら刀が一番いいといわれ、三年間は刀を模した木刀で刀の稽古をして来ていたのである。


(それ以前は剣だったから、バスタードソード辺りまで使える)


 あと魔法の発動体は師匠から、頂いたのでお金の必要はなかった。


 達人の域を超えてしまうと、発動体無しでも魔法は撃てるそうである。



 まずは武器の調達ちょうたつからだった、続いて旅装りょそうそして防具である。


 順が変と思われるかもしれないがこれが師匠から教わった買い方で、回避を重きとするので鎧が後回しになるのであった。


 魔法剣士は避けてナンボだという教わり方で来たのだ、なのでクラスとしては魔法剣士と闘士と術士になっているのである。


 魔法剣士の術系で古代魔法を学び、術士で師匠お勧めの異界魔法を学び、魔法剣士の魔導剣闘技でおぎなえないところを闘士の特殊戦闘技術とくしゅせんとうぎじゅつでカバーしたのであった。



 そして刀に重きを置いたため、師匠から習った流派は速剣術そくけんじゅつ居合術いあいじゅつである。


 速剣術というのは早さに重きを置く剣術の一種で、連続攻撃れんぞくこうげきなどが主流にできる事で有名な流派であった。


 本当は刀で使う剣技では無いのだが、師匠からは独特どくとくな教わり方をしたのでハッキリと覚えている。


 そのために、居合術が必要になるのであった。



 エネミーと斬り結び続けるのではなく、瞬間に抜打ちしその瞬間に全ての攻撃を載せほぼ一撃で終わらせるという流儀りゅうぎであった。


 それでケリが着かなければ、いったん避けて更に同じようにもう一撃加えるというものであった。


 一撃必殺の方法として、一撃離脱いちげきりだつを教わったのである。


 そして移動しながら回避する戦闘法も教わり、二刀流を体得するまでに至ったのであった。



 あと隠し玉として教え込まれたのが、魔法武具創出まほうぶぐそうしゅつ過剰出力かじょうしゅつりょくであった。


 この二つは普段から使うのではなくって、イザもう武器が無いとか、寝込みをおそわれたり、水浴び中を襲われたりした時に使うようにいわれ、隠し武器として持たされたようなモノであった。


 なので私は武器から買いに行った訳なのだが、買いに行った当時まだ東国からの輸入は少なく元々高い刀はまだそんなに数が入っておらず、ようやく手に入れられた刀が二級品の刀であった。


 その刀でさえ五ゴルト(金貨:G)と高価でであり旅にいくらかかるか分からないという事情もあって、バスタードソード七十シルズ(銀貨:S)を予備に付けたくらいである。


 刀は本気の時に使い、普段はバスタードソードで行こうと決めたわけである。


 本当は脇差わきざし小太刀こだちが欲しかったのだが、入手できなかったのでバスタードソードになったのだ。


 なので基本スタイルは左腰に刀をし、背中にバスタードソードを背負うという変則的なスタイルになってしまったのである。



 次に買うものは、旅装だった。


 まずは服からで、着るものとくものとまとうものである。


 皮で要所要所を補強してある旅人の服と軟皮製なんひせいの皮のズボン合わせて六十シルズ、足回りは底を補強してあるジャングルブーツにして、もし壊れたり履けなくなったりしたら旅先で買い換えられるものにした。


 後はそれに革製のグローブを用意したが、一シルズと二十五ブロス(青銅貨:B)かかった。


 後は雨を凌ぐための、まとうものである。


 予算に余裕が有ったので出し惜しみなしで防水効果と防塵ぼうじん効果を一緒に獲得できる紋章の無いフード付きのサーコートにしたので、さらに一ゴルト飛んだがいたし方なかった。


 そのサーコートはどうやら一般的なものでは無く特殊繊維とくしゅせんいからできているようで、防汚ぼうお性能も備えているというすぐれものだったので正にこれだっと思ったわけなのである。



 後は冒険者御用達の、このセットを外すわけにはいかなかった。


 冒険者用の行動道具セットという物が冒険者ギルドから、指定されており安く買えるのである。


 とはいっても、セット価格が十七シルズするのである。


 ただ装備の中身は充実していて、リュックこと背嚢六十リットル(防水性があり補強されている)であるとか財布や小物を入れる防水性を持った素材で創られているべルトポーチ他にも重要な火打石のセットや防水松明十本分であったり、普通のオイルランタンとオイルのセットや鋼鉄製のハンマーとやすりであるとか硬木製のくさびが十個セットになっていたりハーケン硬鉄製・軟鉄製(各五セット)やザイル(五十メートル細いが強靭きょうじん)やチョーク(白墨はくぼく紅墨こうぼく黄墨おうぼく)各四本や筆記用具のセット(インクびんと羽ペンと甲羅素材のケース)羊皮紙十枚や冒険者用にあつらえられた専用の水筒(容量二リットル)や調理用の六徳ナイフや更には携帯用寝具としては高級品に該当がいとうする登山用の汎用ダウン仕様の物が入っていたりと至れり尽くせりなのである、そして極めつけには一ヵ月持つといわれる非常食五セットと一週間は持つといわれる保存食を三セット販売したその日に店で付けてくれるのである。


 まぁ総重量が二十一.八キログラムと重いし実際にはここに二リットル(約二キログラム)分重量が加算されることもあり、合計重量が二十三.八キログラムにはなってしまうが非常にお買い得な製品ではあるのだ。


 唯一の欠点は空の小袋類が付いて無い事であろうかそれぞれの物には付いてくるのだが空の袋というのは自分で買わなければならないのである、そこだけが欠点といえた。


 よって他に分けて入れるように小袋八袋と袋四袋と大きめの大袋二袋も買ったので五ブロスと五十カルド(銅貨:Ca)が掛かり、旅行ってかなり予算がかかる物なんだと初めて学んだわけであるが、さらに荷物を分けるために補強済み帆布製の巾着袋を二つ五十ブロス×二掛かったのである。


 元々入っている物には袋が付いているので、新たな袋というのは無かったのであった。

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