最初に「化粧男子」と聞いたとき、古い価値観の私は「うーん、どんな物語なんだろう。耽美系なのかしら」と、半ば期待せずに読み始めました。ですが、最初の数話で、この考えが間違っており、この瑞々しい青春物語にすぐに心を奪われました。
主人公は、勉強が苦手な高校生・瑠星。背が低く女の子のような見た目ですが、年頃らしい多感さを持つ少年です。
物語は、成績不振の瑠星の元に、美大生でイケメンの淳之輔が家庭教師としてやってくるところから始まります。
読み進めるうちに、「化粧している=女っぽい」という私の古い固定観念は、瑠星の純粋な視点によって次第に塗り替えられていきました。『キレイでイケてるお兄さんが、さらにキレイに見えたら素敵だよね』という感覚は、実に今風で斬新なものなのかもしれません。
特に、淳之輔のキャラクターはとても魅力的です。オネエとかではなく、しっかりと“男”でありつつ、瑠星の頼れる家庭教師であり、兄であり、友人として、彼にとって欠かせない存在となっていきます。
若いふたりは、お互いに惹かれ合いながらも、まだ不器用。そんなふたりの距離感が、時に微笑ましく、時に焦れったくもあり……。今の若い世代には共感を、私のような少し年を重ねた読者には「若い頃、こんなこともあったな」と、どこか懐かしさを感じさせてくれます。
38話時点では、まだふたりの関係に大きな進展はありませんが、教え子と家庭教師がどのように成長し、どのように恋を育んでいくのか。じっくり楽しめる、素敵な小説だとオススメします♡