江戸の外れに「化け物屋敷」と呼ばれる屋敷があった。
なんでも幽霊や
ケチで
人が入ったせいか、若隠居のケチ根性が優ったせいか、次第に化け物の噂も聞かなくなった。
それどころか、若隠居。どこから見つけてきたのか若くて美しい娘と住まいだし、どうやら夫婦になったようだ。
近隣の町人たちは化け物はいなくなるし、屋敷は綺麗に明るくなるし、安心して昼も夜も屋敷の近くを通ることが出来るようになったと一安心。
しかしながら、平穏も長くは続かなかった。
化け物屋敷から若隠居の女房のモノと思われる上半身の死体が出たのだ。
若隠居は早々に役人に引っ立てられ、
「お代官様。アレは女房ではありませぬ。私が
「なんだと!? 『
「いえ……ですからね、その女というのは……」
驚いたことに、若隠居が喰ったのは女房ではなく「人魚」だという。つまり、人魚の下半身……
「なんと。それではその方は人魚を妻に
「違います、あれは半分人ですので、最後まで喰うのを
「最後まで……? と
「はい、
「なんと!」
「幽霊は?」
「とろろ汁にして喰いました」
「ぬっぺっほふは?」
「
「一つ目小僧は?」
「狸が化けていたので鍋にして喰いました」
「なんと豪胆な男だ」
「全ては
「なんとケチな男だ」
「
「下半身が人魚だった証拠は! 骨はどこじゃ? 骨は流石に喰らうまい」
「魚の骨は犬猫の大好物。庭に来た野犬が咥えて
「う〜むむむ。わかった。喰ったのは人魚だと認めよう!」
「おありがとうございます」
「認める。だがしかし、お前は
「ど、どうしてでございますか? 私が食べたのは女房ではなく人魚だと、たったいま認めて下ったではありませんか!」
「人魚を喰ったのであれば