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第19話爆弾

あちらこちらから悲鳴が聞こえて周りはパニックになっていて、そんななか私達も例外ではなかった。

「何があったの?」

「分からない」

アナウンスで慌てずに一度その場にとどまるように言われた。

「大丈夫かな?」

不安がる三人に私はこう言った。

「大丈夫だよ、絶対何とかしてくれる人がいる」


こんな時、河上君ならどうにかしてくれる、そんな気がして私は何もしなかった。


その時、河上は爆発音を聞いてとある過去を思い出しながら、一室に向かっていた。

「何処にいても嫌な音だな」

そう一言、言って歩いて行くと警備員に止められた。


「ちょっと君、ここから先は関係者以外入れないんだよ」

手帳を見せても良かったがこういう場合、殆ど相手にされない。

これは、僕が童顔と言う事もあるが僕が警察官であると言う事を信じる者はいないのだ。

「多分中に、京野言う警察官がいるので河上が来たって言ってもらえますか?」

そう言っても警備員は全く相手にしてくれなかった

「今、忙しいから君の相手をしてられないんだよ」

「分かりました」

僕はその場を離れて携帯でメッセージを送った。

『助けが必要なら警備員をどうにかしろ』

メッセージを送って一分くらいした所、僕の目の前まで息が切れる程に勢いをつけて走ってきた。

「いるならいるでもっと早く連絡よこせよ」

「やれ、理不尽な。そもそも最初に突っぱねたのはそっちでしょ?」

「どういう事だ?」

「佐々木さんに会った時に手伝いはいらないと」

「もう子供の言い訳はいいから来てくれ」

まだ、子供だと思いながら京野さんについていくと先ほどの警備員が驚いた表情でこちらを見ていた。

暫く通りを歩いた所で一室に入った。

「また来たよ」

「邪魔なら帰ります」

「まてまて、そう突っかかるな」

「分かりました」

僕は舌を出して目を下に引っ張って、べーっとやってやった。

ただ、佐々木さんは相手にしてくれなかった。


「で?状況は?」

「今さっき一つ目の爆弾が爆発した、後は分からん」

「犯行声明はどの様に?」

京野さんはスマホで一枚の写真を見せてきた

「これだ」

「今時、新聞や雑誌の切り抜きですか」

「そうだな、で、何が見える?」

「そうせかさないでください」

僕は眼鏡を外してスマホを見た。

そこには、文字が見えない程に真っ黒い色で紙が埋め尽くされていた。

「どうだ?」

「まず、犯人は相当やばいやつですね、黒色に埋め尽くされていてそれと同じくらいピ桃色があります」

「何を言っているの?」

さっきまでモニターを見ていた佐々木さんがこっちに来た。

「今は説明している暇はないから流せ」

「はい」


「で、桃色ってなんだ?」

「主に愛情ですね」

「愛情?」

「ただ、黒色も含まれているので歪んだ愛情です」

「爆弾魔は何を思い誰を想っているんだ?」

「それは分からないですけど今は爆弾を見つける事が優先です」

「そうだな」

そうしたら、慣れた手つきで地図を見せてきて携帯の犯行声明の紙を見せてきた

「爆弾は、此処ですね」


僕は、爆弾が仕掛けられたであろう場所を三ヶ所見つけ出し、直ぐに爆弾処理班が向かい数分で解除され事件は幕を閉じた。

はずだった、僕は外に行こうとしたが一つのモニターをたまたま見た時衝撃的な映像が僕の目に飛び込んできた。

「ちょっとそこのモニターの映像見せて!!」

「え?」

「いいから早く!!」

モニター班は慌てて僕に映像を巻き戻して見せた。

そこには黒ずくめの男が複数で、安藤を拉致した映像が撮られており、そこにはもう一人見知った顔がいた。


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