「ここで降ろしてくれ」
ディズニーが見えている手前で、河上君が霞ちゃんに言う。
「なんで、ここなの?」
「一駅前でお互い違うタイミングで電車に乗った方が良いだろう」
「そっか」
意外とこう言う所は気が利く、河上君であった。
「安藤は先に霞と一緒に電車で行け」
「分かった」
車をコインパーキングに停めて霞ちゃんと一緒に駅に向かった。
「今日はお友達と回るんですか?」
「うん」
無言で駅まで向かって行くので、気を利かせて霞ちゃんが話しかけてくれた
「霞ちゃんって彼氏とかいる?」
「いません」
「今まで出来た事は?」
「それもいません」
「じゃあ好きになった人はいないの?」
「好きと言う感情が理解できないので分かりません」
なんか地雷踏んだかなと思い空気が重くなった。
「でも、過去に人とは何か違う理解できない感情で接する事があることがありました。」
「それって好きだったんじゃないの?」
「そうなのでしょうか」
「きっとそうだよ」
霞ちゃんが少しだけ嬉しそうに、天を見つめた。
多分、想い人のことを思ったのではないかと私は思った。
「安藤様はそう言った人はいないのですか?」
「私?!!」
「はい」
思いもよらない話だった、今まで自分の事を話したりする事はあっても恋愛について話す事はなかったので、同い年で同じ性別である霞ちゃんと恋バナができると少し浮かれてしまい、うっかり話してしまった。
「まあ、いなくはないけど」
「それは、どんな人ですか?」
結構食いついてきたので驚いてしまった。
「えっとこう言う話し興味あったの?」
「人を好きになると言う事に難があるので、勉強を精進している所です」
「勉強ねー」
「何かおかしいですか?」
「いや、恋愛に関しては私も良く分からないから」
「そうなのですか?」
「うん、正直どうしたら良いかも分からないけど」
「けど?」
「今日、ならなんか話せる気がして」
「お相手にですか?」
「うん、ディズニーの力を借りてね」
「ディズニーと言う場所にはそんな効力があるのですか?」
「マジックみたいな事だよ」
「マジック?」
霞ちゃんは今一、ピント来てない様子だったが駅に着いてしまったのでここで暫くお別れになる事になる。
「では、私は離れた所で見ていますので」
「分かった、よろしくね」
「はい」