朝、いつも通りにリビングに行き食事を取る。
「おはようございます」
「おはよう、霞ちゃん」
「いつそんなに、仲良くなったんだよ」
「だって同い年だし」
「私はどうお呼ばれになられても大丈夫です」
霞ちゃんはテーブルに朝食を並べながら答えた。
「そう言っているしいいじゃん!!」
「若人の情緒が分からん」
「心太様だって同い年じゃないですか」
高坂さんも料理が終わり椅子に腰掛ける
「性別が違うだけでこんなにも違うなんておかしい」
「人のことそんな風に言って河上君だって人とは違うよ」
「何が違うんだよ」
「ちょっと、いや、大分常識からずれているよ」
「心外だなこう見えても一般人を装う訓練だって」
「はい、そこまで!!、早く食べないと遅刻しますよ。折角早起きしたんですから」
河上君がなにか言いかけたのを振り切るように高坂さんが手拍子をしてご飯食べるように私達を促した。
霞ちゃんとはここ数週間くらいで二人だけで出かける事が増えた、話し方は相変わらずだけど河上君も高坂さんも霞ちゃんならと二人だけで、出かける事を許してくれたし。
沢山の買い物をした、服を選んであげたりお洒落なご飯を食べたりなんだか二人で
側から見たら同い年の友達同士が出かけているように見えるだろう、でも使用人と
「いただきます」
ご飯を食べながら今日の出来事を話す
「そう言えば、河上君はディズニー始めて?」
「記憶のうちでは」
「そっか、じゃあ今日は楽しみだね」
「お土産はスマホに送っておいたので、頼みますね」
「もう分かったって」
「高坂さんは行かないんですか?」
「はい、私は野暮用でして」
「高坂は昨日からお土産何にしようかってスマホと睨めっこしていたよ」
「そうなんですか?」
「ちょっと心太様、恥ずかしい事を」
「可愛いじゃないですか、ねえ霞ちゃん」
「その歳でそれはちょっと」
霞ちゃんは手を抑えて笑みを浮かべた、とても可愛く思えた。
普段からそうやって笑顔で居ればいいのにって思う、私と一緒にいる時に何度か笑顔になってくれた時はあったが、河上君や高坂さんといる時に見せる笑顔はなにか違うとも思った。
「では、行きましょうか」
ご飯を食べ、私服に着替えて家を出る。
車に乗ろうとしたら私服で運転席に乗る霞ちゃんがいた。
「こないだ買った服で行くんだ」
「ええ、私も今日はディズニーの中に入るので」
「そうなの?」
「今日は俺は安藤の近くに居られないからな」
「その代わりに私が一人で守ります」
「それで、今日は霞ちゃんがいるんだ」
霞ちゃんの服は白いワンピースで、まさに漫画から出てきたかのように似合っていた。
「霞ちゃん、服似合っているよ」
「そうですか?」
「俺もそう思う」
「それですか、それならこれからは大切な時は身に付けるようにします」
そんなに固くならなくてもって思ったけど、これが霞ちゃんの普通なのだと分かってはいる。
隣を見ると河上君が険しい顔をしていた。
「なんだか緊張している?」
「緊張と言うか、嫌なんだ」
「何が?」
「人が多いと目が疲れるんだよ」
「でも、眼鏡かけたら大丈夫なんじゃないの?」
「限度があるんだよ」
「でも、何気に楽しみなんじゃないの?」
「何処を見たらそんなことを思えるんだ?」
河上君はさっきからよそよそしいし、私には楽しみなんじゃないかと思う」
「でも始めてなんだから楽しまないと」
「楽しむね」
なんかこれ以上はいじめるといじけちゃう気がして、話を逸らした。
「そう言えばさ、前に言っていた親友ってどんな人?」
「なんだ急に」
「いや、なんだか気になって」
「そうだな、簡単に言うと正義を具現化した人間だったよ」
「じゃあ河上君とは全く反対な立ち位置なんだ」
「安藤から俺は一体どう見えているんだ」
「そんなに落ち込まないで」
「まあ、でも確かに性格は合わなかったな」
「そうなの?」
「ああ。会えば喧嘩ばっかりしていたよ」
そんな事を言うのに顔はなんだか嬉しそうで懐かしい感じがした
「それに俺は今でも」
「今でも?」
「いや、何でもない。それより今日は何に乗ろうか」
「意外と楽しみなんじゃん」
笑いながらさっき言いかけた言葉が何となく分かる気がした。でもそれを聞くのは今じゃないことも。