学校に行くと教室には誰もいなかった
「一番乗り!!」
「誰もいない教室っていいな」
「一人を満喫している所悪いんだけど僕もいいかな?」
「え?」
後ろを向くとそこには日向君が立っていた。
「日向君、おはよう」
「うん、おはよう。それより一人の時間を邪魔してごめんね」
「いやいや、日向君はいつもこんなに早いの?」
「いや、今日は委員会の仕事で早く来たんだ」
「そうなんだ」
「そう言えば今日は河上君はいないの?」
「河上君なら先生と話があるって職員室に行ったけど」
「そっか、そう言えばさくらは好きな人とかいないの?」
「え?なに急に」
「いや、世間ではLJKの貴重な時間でしょ?そんな時期に恋の一つもしないのって」
「いやいや、私はそんなことないよ」
「そうなんだ、じゃあ僕職員室に用があるから行くね」
「うん」
日向君は教室から出て行ったが、日向君の委員会って確か図書委員だった気がするんだけど職員室に行く用事ってなんだろうって気がした。
一方、河上はとある教室の一室にて担任の先生である田代先生と二者面談をしていた
「校長先生から昨日大体は聞いたよ」
「そうですか」
「入学した時は内気でひ弱で元気がなくてどこにでもいるような高校生だったのにな」
「それは言い過ぎです」
「悪い悪い」
「でも人には話さないようにしてくださいね」
「殺されるってやつか?」
「はい」
「どんな組織属しているんだよ、お前は」
「インターポールです」
「それは知っている、確かルパン三世に出てくる銭形警部がいる組織だろ?」
「まあそうですね」
「具体的に何やっているんだ?」
「詳しい話はできないですけど、まあそのくらいなら」
僕の目について話さなければいいだろうし、ある程度仕事について話してみれば昨日のような事態がおきた時に理解してもらえるだろうと話を続ける。
「インターポールは世界で起きたテロやその国の組織などでは対処ができない事案が発生した時に捜査官が派遣されるものです」
「ええっと、要は一国の組織では対処が難しい事件とかが起きた時に働くってことか?」
「そうです、簡単に言えば世界の警察機関などのトップです」
「凄いじゃないか」
「まあ」
「なんでそんな組織に入れたんだ?」
「先生にも話せる範囲で話しているので詳しくは話せないんですよ」
「まあ話せる所まででいいからさ」
「十五歳、高校一年生で最初は日本の警察に入ったのが始まりです」
「普通の高校生が警察に入れるのか?」
「始まりは僕の家族がサマエルによって殺害されたことがきっかけです」
「家族が?」
「はい」
「どうしてその時に話してくれなかったんだ!!」
「警察から緘口令がしかれたからです」
「だとしてもだな」
「分かっています、もし家族が亡くなったら伝える必要があることも」
「なら」
「言えなかったんです」
「なんで?」
「当時サマエルの幹部が殺害に関与していて警察としては合法的に逮捕できる可能性がありニュースにもならなかったんです」
「それで逮捕できたのか?」
「結果はそうですけど」
「それから?」
「僕は当時サマエルに誘拐されたんです」
「え?」
「少しだけ学校を休んだ時期があったでしょう」
「そうだっけ?」
「はい、一週間とあるマンションの一室で監禁されていたんです」
「酷いな」
「でも生活は衣食住確保されていてなにも不便はなかった」
「つまりは手錠があったり劣悪な環境ではなかったと?」
「はい」
「ただ、誘拐されたのか?」
「そうなりますね」
「結局目的は何だったんだ?」
「分かりません、ただ一週間経ったら警察に見つけてもらい解放されたんです」
「河上とサマエルとそんな関係性があったとはな」
「まあ自分でもなんで僕と僕の家族が狙われたのか分からない事だからけなんです」
「そうだろうな、それでなんで警察に入ったんだ?」
「誘拐された時にサマエルの関係者と思われる人間を見たのでそれが原因で警察から色々聞かれて、その際自分でもよく分からないのですが物事に対して多面的に考えられるようになりまして」
「多面的?」
「はい、分かりやすいように言えば人が考え付かないようなものでも、説明できるようになったんです」
「んー、よく分からん」
「まあ捜査能力を買われてそのまま警察に入ったと言うことです」
「どんな仕事しているんだ?」
「未解決事件を操作する部署です」
「未解決事件か」
「はい、でも僕には捜査する権限はもらっていますが、逮捕する権限は与えられてないんです」
「なんで?」
「世間体でしょう。高校生が警察で働いているだなんてばれたら何かあれば誰がどう責任をとると言う問題になってくる」
「確かにそう言う問題がついてくるか」
「はい、まあ結局は誰も責任は取りたくないわけで、でも僕には使いようがあると言うことです」
「酷い話しだな、でも誰がそんなに河上側についているんだ?」
「総監です」
「総監?」
「警視総監です」
「警視総監って一番偉い人だろ」
「まあ階級的にはそうですね」
「さっきから驚く話しばっかりだな」
「まあ話せば長くなりますし僕が仕事を始めてからから二年間人が過ごす、一生分くらいの時間の濃さがありますから」
「そんなにか」
「はい、それに僕は誘拐されてから以前の記憶がないので」
「記憶が?」
「はい、なので家族の事も覚えてはいません」
「それも言えよ」
「言いづらいでしょ」
「まあそれはそうだけど」
「大変なんだな」
「そういうことで、僕はこれで」
「おう」
教室を出る時に時間を見たらもう時間が迫っていたので駆け足で教室に向かおうとした時にとある人物とぶつかりそうになった。
「ごめん」
「あ、河上君」
「君か」
「そろそろ名前で呼んでくれないかな、もしかして忘れちゃった?」
「いや、日向天司だろ」
「せめて名前で呼んでくれない?天司って」
「じゃあ日向で」
「君もないのかい」
「お前は汚れているからな」
「え?」
「いや別に、それより時間やばいぞ」
「あ、そうだね。行こう」
「うん」
今日は田代先生が来るのが遅いので何かあったのかと教室にいる皆がざわざわしていた
「さくら」
「何?」
「聞いていた?話し」
「ごめん聞いてないなんだっけ?」
「ちょっと颯太がまた隠し事しているだよ」
「またのろけ話?」
「だってー」
「今回も何か理由があるんじゃない?」
「それがそうとも言えないんだよ」
「なんで?」
「だってさこの前のデート一時間も遅刻したんだよ」
「寝坊くらい誰でもするでしょ」
「常習犯だよ」
「まあそれは」
「ほら言い訳できないでしょ」
「うーん」
「それはもういいや」
「え?」
「どうなの?」
「何が?」
「天司とだよ」
「日向君はそう言うのじゃないって」
「どう言うのよ」
「だから好きとか」
「でも気になっているんでしょ?」
「もういいじゃん」
「良くないよ、あんなに男の子苦手だったのに今ではすっかり大丈夫になって」
「それは日向君のお陰でだけど」
「それも私が紹介したからだけどね」
「分かっているよ」
「もうこの際告白したら」
「いや無理無理」
「河上君足速いね」
「お前が遅いんだ」
「だからお前じゃなくてさ」
「分かったから」
「ほら噂をすれば」
「もう良いから」
「ほーい、ホームルーム始めるぞ」
田代先生が足早と教室に入ってきた
「先生、遅いよ」
「ごめんごめん、ちょっと教頭先生の話が長引いていな」
「先生!!人のせいにするのはよくないんじゃない?
「手厳しいな」
「いいから早くはじめてよ」
生徒がばらばらに話しかけてホームルームがなかなか始まらない。
「じゃあ今日は………」
田代先生は今日の出来事を話し始めてそのまま授業が始めた。
「今日は授業長かったねー」
「後は奉仕活動のゴミ拾いだけだよ」
「もういくら奉仕活動とは言えこの学校がやることかな?」
「どういう事?」
「だってこの学校自分で言うのはなんだけどボンボンが集まっているんだよ」
「だから?」
「ようは、金持ちが集まる学校がやることかなってこと」
「これも経験だよ」
「さくらもあんな目に遭ってよく平気でいられるね」
「まあ今は信頼できる人いるし」
「それってもしかして?」
「日向君じゃないよ」
「本当?」
「うん」
「じゃあ転校生?」
「え?」
「最近の行き帰り一緒なの皆見ているよ」
「家が近いから」
「それだけ?」
「そうだけど」
「でも河上君だっけ?イケメンだよねー背も高いし勉強も出来るみたいだし」
「舞には颯太君がいるじゃん」
「私はいいのよ、私は早くさくらが彼氏作るのが見たいの」
「私はいいんだよ」
「何々?恋バナ?」
「天司、あんた盗み聞きとは趣味悪いね」
「いいじゃん入れてよ」
「まあいいけど」
「さくら、私なんか飲み物買ってくるね」
「え?」
そう言うと舞は颯爽とその場を去って行った。
「なんか唐突だね」
「そうだね」
「で、さくらはいい人いないの?」
「私?」
「うん」
「私はあんまりかな」
「そうなんだ」
「日向君は彼女いないの?」
「僕は彼女とかいないよ」
「そうなんだ、意外!!」
「まあね」
「彼女作らないの?」
「いや、作ろうとはしているんだけど相手がなかなか気づいてくれなくてね」
「それは大変だね」
「本当だよ、っていうかさくらは気になっている人とかもいないの?」
「それはまあ」
「え!!誰?」
「そう言う事簡単に聞かない!!」
いつの間にか日向君の後ろに立って日向君の頭をボカンと殴りつけた
「本当にお前は!!」
「ごめんって」
「午後の奉仕活動始めるぞ」
「はーい」
「安藤」
「何?河上君」
「気をつけろよ」
「何が?」
「この時間が一番お前を守り切れない時間だ」
「まあ班が違うからね」
「それもあるが案外近い奴が危ない事もあるからな」
「え?」