「それじゃあ行ってきます」
「いってらっしゃいませ」
「行ってくる」
今日から二人で通学する事になったのだが、一緒に暮らすにあたって何個かルールを決めることにした。
「ねえ、ちゃんとルール覚えている?」
電車に乗りながら学校へ行く途中に河上君に一応話をしてみる。
「学校では同じ家で暮らしている事は、誰にもばれないようにだろ」
「分かっているならいいよ」
「それなら同じ時間に行くのはだめじゃないのか?」
「そうなったら誰が私を守るのよ」
「それもそうか」
「行き帰り一緒なのはいいけど一緒に暮らしているのはだめ」
「そんなに言うって事は、さては彼氏か!!」
「いないわよ!!」
意図しない質問に思わず大声出してしまった。
電車に乗っているお客さんが一瞬こっちを見た。
「そんなに否定しなくてもいいだろ」
「だって本当だし」
「気になっている人がいるとか?」
「それもいないから」
「仮に好きな人ができても今は彼氏とか考えられないよ」
「なんで?」
「だって昨日恐ろしい人達に狙ってられているって話したじゃん」
「それだけで、十代の乙女の恋路を諦めたらだめだろ」
「でも」
「何のために俺が護衛の仕事受けたと思っている」
「なんか頼りないけど」
「そんな事言いうなよ」
「そうだね」
私は思わず笑ってしまった
「さあ、学校行こう」
「うん」
歩きながら談笑をした
「もしかしてさ、私が小さい頃に誘拐されたのってサマエルと関係ある?」
「まだ分からないが調べる必要はあるだろうな」
「そっか、じゃあそっちは任せるよ」
「おう」
そうしたら後ろから声をかけられた
「さくら、おはようってか河上君じゃん!!」
「日向君おはよう」
「河上君といつ仲良くなったの?」
「つい最近だよ」
「そうなんだ」
いつまでも挨拶しない河上君を見ると険しい顔をしていた。
「河上君?」
「うん?」
「挨拶したら?」
「ああ、」
「話すのは始めてだね、僕は」
「日向天司くんだろ」
「覚えていてくれたの?」
「まあ同じクラスの人くらいはな」
「そっか、じゃあ友達だね」
「友達ね」
「じゃあ僕は行くから」
「うん、じゃあ」
日向君は行ってしまった、でも私には河上君がなんであんなに邪険にしたかのような態度をとったのか気になった
「なんか今の河上君愛想悪いよ」
「そうか?」
「そうだよ、私の友達にそんな態度とらないで」
「友達ねー」
「なによ」
「いいや」
河上君はさっきの愛想の悪い人とは全く違う人のように、感じたがそれだけでなく人が変わったようになった河上君に少し恐怖を感じた。
「なにやってんの?遅れるよ」
「分かってる」
なんだか考えるのは馬鹿らしくなってきたので学校へ向かった。