車に乗り私を連れ私の家から三十分、今は河上君の家のリビングのソファーでゆっくりしている。
「それにしても立派な家だね」
「安藤さんの家と比べたら狭いけどね」
「マンションでこの広さは見たことない」
「そう?」
「安藤様、飲み物はいかがですか?」
「ああ、お構いなく」
「これから此処で暮らすんだから遠慮するな」
「そうですよ、安藤様の好みを把握することも私の仕事ですので」
「そうなんだ、じゃあ何にしようかな?」
「大体の物は揃っていますので何なりとお申し付けください。」
「じゃあココアで」
「かしこましりました」
河上君の家はマンションだが二階になっているし、リビングはめちゃめちゃ広いしそれにお風呂が露天風呂まである家賃を聞くのが怖いくらいに立派な家だった。
「それで、お父さんと何話してこうなった訳?」
「話す前に、説明するとサマエルは知っているか?」
「まあニュースでみる程度には」
「そうか、簡潔に話すと安藤さんの親父さんから聞くには、闇サイトでADグループを狙っている情報が出回っていて、その中でも一番狙われているのが安藤さんを殺すか誘拐するって仕事が最高報酬になっている訳だ」
また私の知らない所で事が運んでいるしそれに生きてく上でどんどんスケールが広がっている
「そうなんだ、それで護衛って事?」
「そういうことだ」
「それでサマエルとどう言う関係があるの?」
「その仕事を主導に動いているのがサマエルでマラクにも情報が出回っている」
「だからってここまでしなくても」
「サマエルは今世界で起きている殺しや誘拐事件の四割の事件に関わっていると言われているマラクを含めて世界最高の犯罪集団だ」
「半分近くに関わっているってやばいじゃん」
「実際事件になってないケースもあるから、世界で起こっている事件は全てサマエルいやマラクが起こしている」
「マラクってサマエルとは違うんだよね?」
「ああ、サマエルに入れない多くの若者がマラクと呼ばれている、まあ実際マラクからサマエルに昇格するやつもいるけどな。でもそういう若者が世界中にいるということだ」
「なんでそんなことになるの?」
「自分の怒りの捌け口が分からなかったり人を殺すことで自分を保つ奴もいたり、そう言う人を殺さないと分からないような快楽に溺れる奴が多い」
「頭おかしいんじゃないの?」
「まあそうだけど一番の理由は神鹿狼奈の影響が大きいな」
「神鹿狼奈?」
「知らないのか?」
「いや、名前程度は知っているけど」
「神鹿はサマエルのトップだ」
「そうなんだ」
「サマエルの犯罪を考えているのが神鹿だ」
「じゃあその神鹿って人が世界で起きている事件の半分近くに関わっているって
事?」
「そう言う事になる」
「なんで警察は逮捕しないの?」
「逮捕するにもそれを世間は許さないだろう」
「なんで?」
「仮に逮捕したとしてもマラクが神鹿を解放する為に一斉に暴れだしたりしたら世界は終わる」
「そっか」
「まあそんな連中に命狙われるんだ」
急に河上君が笑い出したので失礼な人だなと思った。
「ちょっと笑い事じゃないでしょ」
「こんな状況だからな、笑って生きてかないといかんだろ」
「ココアです」
高坂さんがココアを持って来てくれた。
「あ、ありがとうございます」
「すいません、この人こう言う人なんです」
「おい、人を人でなしみたいに言うな」
「事実でしょ?」
「俺は善人には優しく敬意を持って接することができる仏だ」
「そもそも仏様は人じゃないじゃないでしょ」
なんだか意外と楽しそうに暮らせそうだと思えた。