次の日、学校へ行くと河上君が同じクラスでびっくりしたが皆と直ぐに打ち解けて談笑している様子がうかがえた。
そして放課後。
「河上君、ちょっといい?」
「何?」
「ついてきてほしい所があって」
「どこ?」
「いいからついてきて」
「分かった」
河上君を学校外へと連れていき少し歩いた所で黒田が車で来るのを待った。
「それで、どこ行くの?」
「私の家」
「は?なんで?」
「なんかお父さんが話があるって」
「なんの話だよ」
「さあ。私には話してくれなかったし、感謝でもするんじゃない?」
「それなら安藤さんで十分だろ」
「私には言わないでよ」
そんな会話をしていると使用人さんの車が来た。
「さくら様お待たせしました」
「そんなに待ってないよ」
「河上様は以前お会いしましたね」
あれ?河上君の名前って黒田なんで知っているんだろと思った。
「どうぞお乗りください」
「どうも」
車のなかでは会話はなくただじっと河上君は考え事をしているように見えたからこそ何だか気まずい感じだった。
「着きました」
「流石の豪邸だな」
「なんか恥ずかしいな」
「そうか?問から家まで車で移動なんて今時こんな都会でそうないぞ」
「だから恥ずかしいんだよ」
「そう言うものか?」
「うん」
確かに問から内に入るまで歩いて十五分はかかるから、いつも疲れるからそこは車に乗らせてもらっている。
「着きました」
いつもと違って人が一人いるだけでも時間が過ぎるのが早く感じた。
「じゃあ私がお父さんの所に河上君案内するから」
「分かりました」
「じゃあついてきて」
「おう」
家の中に入る。
家の中にいる使用人達が物珍しそうに河上君を見ていた、お父さんはこの人達に何も言わなかったのだろうか。
二階のお父さんの部屋へと付きドアを二回ノックする。
「お父さん、河上君を連れてきました」
「入りなさい」
ドアを開けて部屋へと入る。
「失礼します」
「さくらは外に出てない」
「なんで?」
「いいから、出なさい」
お父さんは鋭い眼差しで私を外へと出そうとする。
「私は話を聞いたらいけないの?!」
「安藤さん」
「なに?!!」
思わず大声を出してしまう。
「ちゃんと安藤さんのお父さんと話して後で伝えるから」
「分かった」
私は外へと出てリビングのソファーへと座る。
「さくら様、どうぞ」
「ありがとう」
黒田が珈琲を出してくれる。
「そう言えば、ブラック珈琲飲めるようになったんですね」
「確かに、最近自然と」
自分がブラック珈琲を飲めるようになったのが気づいた。
「大人になられましたね」
「そうかも」
一方、別の部屋ではまた違った雰囲気で男二人が話の続きをしていた
「初めましての君にお父さんとは言われるとわね、河上心太君」
「そっちこそ初めましてにしては失礼なんじゃないかい?俺の事をこそこそ調べられるなんて」
「気分を害したなら謝罪するよ、でも必要だった事だ」
「たった一枚の写真で俺の事を相当調べたんだな」
「写真を撮った事をばれていたのか」
「当たり前だ、もう俺がどういう人間か知っているんだろ」
「ああ、君以外に適任はいないな」
「安藤さんを守れと?」
「そういうことだ」
「その様子では天下のADグループは警察や公安だけじゃなく国のお偉いさんにまで顔が利くんだな」
「そこまでばれているとはさすがだな」
「まあな」
「ではお受けしてくれるかな?」
「分かった、ただし何個か条件がある」
「終わったぞ」
急に後ろから河上君が出てきた。
「結構長く話していたみたいだけど」
「まあ込み合った話があるんだ」
「そうなんだ」
「と言う訳で荷物、纏めろ」
「へ?」
「これから一緒に暮らすんだ」
「どういう事?」
「今日から俺がお前のボディーガードだから、よろしく。それから守るにしても限度があるからな」
「えー」