驚いて尻餅をついてと同時に、自分の身に何も起きてない事が分かった。
「へ?」
目の前をみたら長身で眼鏡をかけたイケメンの男の子が立っていた。
「大丈夫か?」
「はい」
助けてくれた男の子は会ったことはないはずなのにどこか、面影があった気がして不思議な感覚だった。
私がそんな事を考えている間に男の子は黒ずくめの人達を武器も持たずに素手でぼこぼこと倒していく、その場面に誰も入れずに結局男の子は黒ずくめの全員を倒してしまった。
「よし、あらかた片付いたかな?」
ぱぱっと手を叩いているところに先生が近づいて行った。
「君は誰なんだ?」
「河上心太です」
「河上心太?」
「あれ?此処に戻って来る日なんだけどな。制服も合っているよな?」
その会話を聞いて田代先生が会話に入る
「河上君って今日の朝に来る予定じゃなかった?」
「それが飛行機が遅れたり緊急の予定が入ったりして大変だったんですよ」
「それなら連絡くらいしなさい」
「すいません」
なんだかへこへこしていて、さっき感じた懐かしさがなんなのかより分からなった。
そんな時だった。
「危ない!!」
声を聞いて黒ずくめの一人を見ると拳銃で私を狙っていた。
「殺してやる」
そうして今撃たれそうになっている時に周りがスローモーションになっていた、走馬灯じゃないけど自分が死ぬ時にこうなるようになると聞いた事があったので、もう自分は死ぬのかと思ってしまったが、黒ずくめの人が拳銃の引き金を引く瞬間に男の子が私の前を立って斜線を外してくれた。
「大丈夫か」
「私は大丈夫です」
「あいつこりてないな」
私は倒れながら自分に怪我がない事を分かり、その代わりに男の子が銃で型から血が流れていた。
「大丈夫?」
「懲らしめてやるか」
「え?」
なんだか男の子の目が綺麗な青色に見えた。
私の声が届いてないのかそのまま銃を持っている黒ずくめの方へと向かって行った。
「頼む命だけは」
黒ずくめの人は命乞いをしながら男の人に頭を殴られた。
黒ずくめの人はヘルメットをしていたのにそのヘルメットのガラスを割って殴り尽くした。そのまま黒ずくめの人は他の人と同じで意識を失った。
「先生、警察に電話」
「ああ、そうね」
田代先生は男の子に諭されて急いで携帯に電話した。
「怪我とかしてない?」
男の子は自分が撃たれているのが分かってないかのように私を心配してくれた。
「私は大丈夫だけど、君の方が重症でしょ」
「どこが?」
「どこって肩」
「ああ、これ?」
「それ以外ないよ」
「そっか、とりあえず保健室行くか」
そうして男の子は私を抱っこして保健室に向かった。
「ちょっと何やっていんの?」
「何って何処か怪我しているかもでしょ?」
「だから私は大丈夫だって」
「君は大丈夫でも他の人の為にね」
「え?」
よく分かってない私に男の子は小声で話しを続けた。
「此処にいると二次被害遭った時に皆守りきれないし、それに人質とか取られたら面倒だからね」
そこまで気が回らなくて少し気落ちしていたら保健室に着いた。
「先生ベット借りるね」
「はいはい、ってどうしたのその傷」
「これ?」
「それ以外ないでしょ」
「今はこの子ね」
「ベット空いているからそこで寝させて」
「了解」
私はベットに乗せてカーテンをかけた。
「何したらそんなに血が出るのよ」
「まあ黒ずくめの人の人間と戦っていたらこうなった」
「どういう事よ」
「なんか正門に黒ずくめの人間が六人くらい生徒襲っていたのよ」
「そんな事があったの」
「まあね」
カーテンから薄く男の子と保健室の先生の影と会話が聞こえてくる。
「先生、包帯貸して」
「包帯って自分でやる気?」
「まあ慣れているから」
「だめよ、今は救急車呼ぶから」
「大丈夫だって、銃弾も貫通しているし消毒して包帯巻いとけば治るって」
「怪我を舐めないで、って勝手に包帯巻かない」
なんだか楽しそうで覗いてみたくなってカーテンを少しめくると男の子が服を脱いでいたので驚いて声を出してしまった。
「きゃ」
男の子の体は色んな傷で痛々しく映った。
「お、動けるのか」
「怪我してないしさっきは驚いて動けなかっただけ」
「そうか、そう言えばさっきの奴らに覚えは?」
「覚えって言われても顔見えなかったし」
「だよな」
男の子は包帯を巻きながら上を向いて少し考えて話を続けた
「そう言えば名前言ってなかったな。俺は河上心太よろしくな」
「私は安藤さくら。よろしく、それとさっきはありがとう」
「おう、安藤ってADグループの会社の令嬢か?」
「まあそうだけどなんで分かったの?」
「此処はぼんぼんが通う高校だしそれに、ADグループは誰でも知っているだろ」
「それだけ?」
「まあ正直言うと前に何かでみた写真に写っているのと安藤さんが似ていたから」
「そっか」
多分週刊誌かなんかで出た記事の写真を河上君は見たのだろう。世間は芸能人のゴシップでは飽き足らずただの一般人の私にも興味があるらしい。
「話は戻るが小さい頃に何か事件に遭ったりした事ないか?」
「そう言えば五歳くらいに誘拐された事があった」
「詳細は?」
「誘拐される時に頭を強く殴られて記憶はないけど、直ぐに警察が動いて数時間後に助けてもらったけど」
「そうか、だったら関連性はあるかもな」
「どうしてそう思うの?」
「さっきの黒ずくめの奴らに一人だけ動きが鈍い奴がいて、多分一人だけ年が上なんだと思うしそれにそいつのヘルメット壊して顔見みたら四十代くらいの男だったから、もしその時から犯罪に手を染めていたとしたらそいつは二十代になるし」
「歳だけでそこまで考える?」
「今回の目的が誘拐じゃなくて殺しだったのも何か違和感あるし、きな臭いな」
「まあ用心するに越したことはないないね」
「案外裏サイトに安藤さんの名前が乗っている事もありえるからな」
「そっか」
まただ、私の知らない所で事が進んで行く。
「救急車きたから正門に行って」
「はーい」
私はもう歩けるしいいと言ったがなにかあればと言われて半ば強引に救急車に乗らされた、河上君の方が重症なのになんだかぴんぴんしているし、喋らないでって言われているのに海外での面白い話で救急車の中では笑い声が絶えず救急隊の人も呆れていた。
病院に着いて私は軽い検査をして何もない事が分かり、メンタルの事で病院に通うのか親と話すらしく電話番号を聞かれたがそれで終わり、私は使用人が来るまで待合室で待つ事になった。
「ほい」
「え?」
隣からジュースを投げられた。
いつの間にか河上君がいた。
「河上君は大丈夫だった?」
肩には包帯がぐるぐる巻きにされてがっちり固定されていた
「ただ撃たれただけなのに大袈裟だよな」
「それは大袈裟じゃないと思うよ」
「そうか?」
「うん」
「安藤さんは親が迎えに来てくれるのか?」
「いや、使用人さんが来てくれる」
「そっか、俺も迎えに来てくれるからそれ待だな」
「河上君の両親はなんの仕事しているの?」
「仕事?」
「うん、なんか気になって」
「そうだな、普通の会社員だ」
「そうなんだ」
「まあ、過保護な親だから今の俺を見たら怒られるな」
「いい親御さんじゃん」
「そうかな」
「そうだよ、私なんて」
「さくら様、大丈夫ですか?」
「黒田、大丈夫だよ」
「この人が使用人さん?」
「そう」
「初めまして、安藤家の使用人をさせていただいています黒田と申します。この度はさくら様を守って頂きありがとうございます」
「黒田さんね、まあ安藤さんになにもなくて良かったよ。でも普通の状況じゃないからケアはちゃんとね」
「はい、では行きましょうか」
「うん、じゃあね」
「おう、またな」
車に乗ってさっきの出来事を話しながら家に帰る、なんだか河上君には家の状態を素直に話せる気がしたが、タイミングがなく話せなかった事が少し悔やまれた。
「ただいま」
「さくら、大丈夫?怪我は?」
帰ったと同時に母さんが心配してきた
「今日は家にいるんだ」
「え?」
「怪我もないしなんともないよ」
「そう、お父さんが呼んでいるから部屋に行って」
「分かった」
今日はお父さんも家にいるのかと思ったけど、昨日ボディガードの件でそんなのは要らないと言ってしまって喧嘩をしてしまったが故に少し会うのが気が引ける。
ドアをノックする。
「失礼します」
「おう」
「お父さん、なに?」
「学校での事は黒田と先生から聞いた、明日学校で河上と言う奴を家に来させなさい」
「え?」
「話は終わりだ」
「分かりました」
河上君になんのようだろうと思いながら忙しく現実味のない一日が終わった。