「え......?」
「いや流石に防具なしで行くのはどうかと.......」
「まあ確かに」
「だから行くまでの間だけ着るってことでいいかな?」
「まー仕方ないか、分かった先買いに行こう。じゃ武器屋な」
こうして僕と条夜は、武器屋へ向かった。条夜曰く、武器屋にも防具が置いてあるらしい。
「さーてと、どれを買おっかなー?」
「条夜はどれにするか決まってるの?」
「防具だろー? 普通ので良いんじゃね?」
(普通ってどんなのよ? この世界の普通って)
「例えばどういうの?」
「そうだな、Dランクくらいが着るようなの」
(確かに真ん中だけど)
別に冒険者ランクの真ん中だからとはいえ普通とは限らないが。
「あ、そうだ!」
「ん? どうした?」
「仕佐は、付与魔法って知ってる?」
「付与魔法? ってなに?」
「まあ、知らないか」
「え? 何どんなの?」
「付与魔法って言うのは、まあ簡単に言えば魔法を付与することが出来る魔法のこと」
「そのまんまだね.......」
「そう.......で! 例えば剣とかに、強化魔法とかを付けると攻撃力が上がったり、切れ味が良くなったりするんだ」
まだまだ知らないことがたくさんあるんだなと仕佐は感心する。条夜のほうがなぜか知識が多いのは謎だが頼りになることこの上ない。
「へーじゃぁ、たくさん付与できたら最強の剣とかが出来たり、するの?」
「うん、たくさん付与できたらね」
「どういうこと?」
「つまり、付与魔法も魔法だから魔力を消費するんだよね」
「あーなるほど、だから一度にたくさん付与できないんだね」
「そゆこと」
(ん? 待てよ1度にたくさん付与できないんだったら何回かに分ければ.......)
「ねえ条夜」
「うわっ! びっくりした」
大きな声を出した覚えはないが条夜がボーっとしていたのだろう。めちゃくちゃびっくりしていた。
仕佐は内心笑いながら、面に出さないように笑いを堪えて話を続けた。
「1度にたくさん付与できないんだったら何回かに分ければ出来ると思うんだけど」
「おー‼ ナイスアイディア! 天才か?!」
「じゃぁさ早速やってみようよ」
「付与魔法覚えるとこから?」
まったく考えてなかったがそういえば仕佐も条夜も付与魔法を覚えていない。やり方もわからない。
「あ.......そうだった.......」
と偶然クエルフが通りかかった。
「2人ともどうしたの?」
「ああ、付与魔法持ってる人居ないかな、て」
「ここにいるよ」
「えっ、どこ?! どこ!?」
願ってもないことで仕佐はどこにいるのかと辺りを見渡す。
「.......僕だよ」
「.......えっ、もしかしてクエルフ?」
「うん、そうだよ」
「マジで?」
「うんマジで」
「ほんとに?」
「うんほんとに」
まさかこんな身近なところに付与魔法を使える人がいるとは。単純にうれしくて仕佐は目を輝かす。
「で、どうして付与魔法が使える人を探してたの?」
「ああ、そうそう」
「今から防具を買おうと思ってたんだけどね」
「え? 今更防具?」
「うん、一応ね。道中だけなんだけど」
「ああーなるほど」
「でさ、お願いなんだけど今から買う.......」
「防具に付与をして欲しい? って言うこと?」
「いや防具じゃない」
今まで一言も発していなかった条夜が突然言い出した。
「ああ、なるほど」
どうやらクエルフは、条夜の言いたいことを理解したらしい。仕佐はまったく意味が分からず驚きつつ聞く。
「えっ?! どう言うこと条夜」
「まあ、どうせならアクセサリーに付与させた方が使いやすいかなって、思ってな」
「確かにアクセサリーに防御系の魔法を付与した方が使いやすいのは確かだね」
「な? いい考えだろ」
「.......」