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第三話 オリジナル魔法と極 2

「そういえばさ前から思ってたんだけど」


「何?」


「俺の火属性の呼び方は、『火』なのにどうして仕佐のは『炎』なんだ?」


「僕も気になって視てみたんだよ」


「何が違うんだ?」


「始めは火で極めると炎になるっぽいよ」


「えっ? そうなのか?!」


「例えば、僕が持ってる火属性魔法の黒煙の業火こくえんのごうかなんかは、その魔法ランクがAでとても強力なんだ」


仕佐は解析というスキルを持っている。解析はその名の通り対象としたものの詳細を視ることができるスキルだ。


「え! あれってそんなにやばいやつなのか!?」


「そうだよ。あれ消費魔力が多いみたいでね。だから強力な魔法を覚えるためには、属性の強化が必要なんだって」

解析で視たことをそのまま言うと腕を組みながら頷き関心している。


「なるほどなぁ……? ちなみにさ」


「うん?」


「俺の無色魔法はどうなるんだ?」


「あれ? 確かにそうだね。神官も無色魔法の話はしてなかったはずだし」


「そうなんだよ!」


「確か無色魔法は基本的にオリジナル魔法、だったよな」


そう、無色魔法はクエルフの言っていたことをそのままいうなればオリジナル魔法に分類されている。オリジナル魔法はその名の通り製作者にしか使えないユニークであり一つだけの魔法だ。


「ああそうだな」


「まあ、考えても仕方ないか」


軽く笑いを零すと明日クエルフに聞いてみるということでこの場は収まった。


「そうだな寝るか!」


そして次の日、昨日話したことをクエルフに聞きに行ってみた。


「おーい! クエルフーいるかー?」


特に示し合わせたわけでもないし、今日は待ち合わせはしていなかったが「まあ、いるだろう」くらいの気持ちでいつもの西の森に向かった。


「ん、どうしたの?」


条夜の声に気付いたクエルフが両手を腰に置きながら振り返った。


「ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ」


「うん」


事の事情を話すと良いところに気が付いたなと言わんばかりにいろいろと教えてくれた。


要約すると以下の通りだ。

まず、無色魔法は個人の魔法のため極める人がまず居ないという。一重に極めるとはいっても同じ魔法ばかり使っても極には到達しないらしいので、条件はかなり難しい。それが無色魔法ともなればなおさらだ。オリジナル魔法を作るのは容易ではないため極める以前の問題でもあるのだとか。

とはいえ、過去に極めた人がいなかったというだけで極みに到達させることは可能かもしれない。


「まあ、極めてる人は確かにいないと思うけど、極めることは出来ると思うよ」


「ちなみにさ、転生前はどうだったの?」


「んー、そもそも無色魔法を攻撃魔法として使ってなかったからね」


「えっ? そうなんだ!」


言われてみれば昨日条夜がマキシマム弾撃ったときにクエルフは浮かない顔していた。


「じゃぁ条夜みたいに使ってるのは初めて見たの?」


「そうだね、まさか無色魔法にあんな使い方があったとはね」


転生者ではあるがクエルフにも知らないことがあるのかと条夜は内心驚いた。


「今日は珍しく条夜静かだね。どしたの?」


「いや? そろそろ魔物狩りしてみたいなーって」


「ああ、なるほど。じゃぁ久しぶりに魔物討伐の依頼受けてみる?」


ひさしぶりにとは言ったが、昨日のボア―ウルフを換算してもいいのなら昨日ぶりだが。


「よっしゃ!」


「それじゃクエルフ待たね」


「うん、また」


クエルフと別れると冒険者ギルドへ向かった。


(魔物狩りか……そういえばまだランクFなのか)


そんなこと思ってる内にギルドに着いた。


「条夜、どの依頼受けるか決めてるの?」


「そりゃあもちろん!」


「で、どれ受けるの?」


「これ」


と言って指を指した依頼書を見るとゴブリンの討伐だった。


依頼難易度はF。仕佐達の冒険者ランク的にも初心者的にも優しいクエストだ。


「いいよ」


「うし」


依頼書を剥がすとカウンターへと持って行った。


「これ受けまーす!」


(取りあえず一応防具くらいは買っとかないといけない、のかな? こんな布切れじゃ心もとないし)


何と言っても仕佐達は制服のままだ。一応宿に置いてきたカバンの中にジャージくらいは入っているが使い物にならなくなるのは困る。自分の命を守るためにも防具は絶対に必要だ。


「お待たせ、さっそk」


「先に防具買いに行くよ」


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