俺の名前は
どこにでもいるごく普通の中学生だ。
だけど、今は普通ではない。というのも2時間前に遡る――
そう、あれはいつも通り学校に登校していたときのことだった。
突然視界が真っ暗になり――気を失った。
目が覚めたとき、そこは知らない床がただ一幕に広がっていたのだ。
◆ ◆ ◆
あれ?確か俺学校に行く途中で.......その後どうなったんだっけ?
「ここは.......どこだ?」
俺はなぜか、うつ伏せのまま赤い
「――おぃ――おい! 大丈夫か?」
「え? ああ、大、丈夫。ここは?」
俺はかなり混乱しながら、ここがどこか聞いてみた。
「お前は今、異世界に召喚されたんだよ」
「……? というか君は?」
突然訳の分からないことを言われ、俺は一瞬困惑した。だがなぜか、その人の名前を聞いてしまった。
「まだ名乗ってなかったな、俺は
「えと、よろしく条夜さん」
かっこいい名前だなぁ。とか思いつつ、さん付けで挨拶を交わした。が
「呼び捨てでいいよ」
と、言われ「そうなのか」と安心しつつ、俺も自己紹介をした。
「あ、俺の名前は雷鳴仕佐」
「おう! よろしく仕佐」
「話は終わりましたでしょうか?」
するとTHE〇〇教のような格好の綺麗なお姉さん?が話しかけてきた。
「え? いやまだ、聞きたいことがいろいろ.......」
「いいじゃねえか。あとでいくらでも話せるだろ、先にこの世界のことを聞こうぜ」
それって……ってことだよな?
「あ、うん」
「私はあなた方を召喚した召喚魔法を得意とする神官です。名をアスチル・フォン・テルナリアと申します。以後お見知りおきを――」
ここアスタリア王国は南に湖があり、そして山に囲まれています。東の森を抜けた先にアスタリア王国より二回りほど小さいフラン領、と他にもいくつか街や国があります。その中心の地がアスタリア王国です。魔王城があるのは世界の端と言われていますが、誰も見たことがないので本当にそこに魔王城があるかは分かりません。
この世界ではかつて、人族の英雄と讃えられた5人賢者がいました。その賢者達は未だ誰も達していない未知の領域へ魔法を極め、最高点へ達していました。しかしその時事件が起こったのです。200年前に起こった人族と魔王軍の戦争によって、人族の英雄は姿を消してしまいました。更には各国にいた勇者達も姿を消してしまい、ただ1人見付けたのが風の勇者ウィンディニアだけだったのです。しかし風の勇者も戦争で疲れ別のどこかへ行ってしまいました。
そして今、また200年前の戦争が始まろうとしています! この戦いで勝利し、この世界の平和を勝ち取って頂きたいのです。
「と、言うわけで勇者仕佐さん。あなたにはこの世界を救って頂きたく、召喚させていただきました」
なるほど、思った以上にこの世界は大変な状況だったんだな……
「とりあえずは何したらいいんだ?」と条夜が聞く。
まさか、こんなことになるとは.......
「ボソッ、というか俺は空気か!」
俺はなるべく小さい声で突っ込んだ。
まあ、馴れてるけどな
「あら、いつからそこに?」
絶対わざとだな!
神官は「ウフフ」と口に手を当て笑っている。
「やっぱ異世界と言えば、ステータスの確認だよな!」
そう言うと条夜がステータスを見た。
「えっ! 何ですかこのステータスは?!」
職業 ? 赤城条夜 Lv1 状態 興奮
Hp120/120 魔力83/83 素早さ68 筋力47 知力82
属性 水 風 土 火H
スキル 素早さ上昇C プレイヤー経験値UpE 水耐性D 風耐性C
Hp自動回復C 隠密E 鑑定C 異世界オタクSS 体術C
魔法 ウィンドコントロールE ファイアーボールD マキシマム弾C
「うぉー俺すげー!」
「スキルが9個も! それに聞いたことがない魔法が2つもあります!」
え、ハードル上げすぎ.......僕のステータスこれより低かったらどうするんだよ
仕佐は条夜達とは対照的に少し
「あなたはいったい.......というか本当に魔法のない世界から来たのですか?」
無理もないだろう、恐らくこの世界では凄いのであろう条夜の高いステータスだからな。
「そりぁね。てかそれ以外だったらどこから来んだよ」
条夜は苦笑いしつつ軽く突っ込む。
「条夜すごいね。僕なんかは、全然だと思うけd」
「いえ、あなたは私が召喚した勇者様なので、すごい能力が秘められていると思います!」
最後まで言わせろよ!
ふぅ。ステータス
頭の中でステータスと唱えた。
職業 勇者 雷鳴仕佐 Lv1 状態 不安
Hp240/240 魔力134/134 素早さ88 筋力38 知力100
属性 炎 風 闇 光
スキル 初歩魔法耐性B 近接戦闘センスD 遠距離戦闘センスB
隠密C 鑑定C 解析C 受け流しD 特殊?
魔法 黒煙の業火D 影移動D 物理シールド 反射シールド
水球D 光明B ウィンドエッジC 爆炎C 炎爆炎
あ。うん僕の方がすごかった! よかった……でも特殊? とは何だ?
「や、やべぇ!仕佐もすごいな!」
ちょっと条夜が驚き気味に引いている。
「Lv1でこれほどとは、流石は勇者様」
神官はなぜがドヤ顔で眼をキラキラさせながら、こちらを見ている。
「うん、僕と条夜が一緒のパーティーになったら最強、だったり? するのかな」
どさくさに紛れて一緒に行動したいアピールをしてみる。出来たかな?
「おおー! それいい考えだな!! なあいいよな?」
「まあよろしいでしょう」
良かった、これで少しは安心かな
仕佐は安心して、ため息を漏らした。
「やったー!」
すると神官が2人に近づきアスタリア王国の地図と、この世界の共通金銭を渡した。
「この地図でどこに何があるのかが分かります。それと魔王討伐のための資金です」
「あと、魔王はいつ倒しに行ってもいいですよ。」
「へ? え、すぐに倒しに行くとかじゃなくて??」
条夜が変な声を出し、キョトンとした顔で肩を落とした。
「はい。今はそれほど危険では無いので、これからは観光なりギルドに行ったりして2人の自由です」
え?なんのための召喚?
「ならやっぱ始めはギルドだろ」
気にしてないのかよ
「冒険者登録にレッツゴー!」
まあ、いいか
「おおー」
俺と条夜は拳を天に掲げ、神殿を後にした。
――そして今に至ると言うわけだ。