12月24日木曜日。少しいつもより寒い朝、目覚めると私はリビングに降りた。
「おはよ、ママ。」
「おはよ、紀乃。よく眠れたみたいね。」
今日はみんなとクリパ。私は初期メンじゃないから最初の頃は正直不安だったけど、みんな優しくて、温かくて、とっても嬉しかった。
「聖夜テンションになっちゃって、浮かれないようにね。」
「浮かれないし。着替えて行ってくる!たぶんひい君家に泊まりになると思うから。」
「行ってらっしゃい、気をつけるのよ。」
「はぁーい!」
私は着替えて外に飛び出した。
集合は樟葉にあるショッピングモール。映画館やアウトドアショップ、雑貨屋さんまであって、プレゼント購入にはもってこいだ。準急で2駅と特急で1駅。枚方の端と端なのに意外と早く着くもんだ。改札を抜けて、ロータリーをぐるりと回って連絡通路に階段で上がる。そこを入ったところが待ち合わせだ。
「ごめん!私が最後やった?」
「いいよ、まだ集合時間15分前やし。」
「じゃ、まずは観るか。」
「そうだね、楽しみだなぁ。実写版の映画はあるけど、アニメ版の映画は初めてだもんね。」
横にある、薄暗いエスカレーターを上がって映画館に。私たちが観るのは、つい最近漫画が完結したラブコメ。そのクリスマス編だ。ストーリーを知ってるからこそのワクワクがある。さて、暗くなったのでもうすぐ開演だ。お静かに。
1時間半くらいの映画が終わって、私たちは外に出る。さっきまで柔らかい椅子に座っていたから、体にはまだ包まれるような感触が残っている。
「あぁ、面白かったな。」
「腹筋痛い。」
「結構みんな笑ってたよな。」
このアニメは恋愛要素よりコメディ要素の方が強いから、笑わざるを得なかった。まぁ、面白かったし。オープニングは過去の映像を寄せ集めてたし、めっちゃ盛り上がった。本編が始まってちょっとしてから出てくる『バかぐや』も可愛かったなぁ。『1番!』とかのやり取りとか。凍った時はちょっとヒヤッとしたけど。
「優くんのクリスマスと初デートが短縮って、ちょっともったいなくない?」
「たしかに、4期に期待だね。」
ポップコーンの箱を返して、映画館を出る。時間は昼前だからか、飲食店はどこも行列ができていて、すぐに入れそうになかった。
「さてと、プレゼント探しの旅に行きますか!値段は何円でもOK!じゃあ、みんな一旦解散!」
『おぉー!』
楓の声でみんなが別々の方向に歩いていく。私にとっての初めてのプレゼント探しが始まった。