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第33話 俺たちは1学期期末③

 9時のチャイムと同時にシャーペンが削れる音が聞こえる。今日からは期末テスト。大学が上にあるからとはいえ、やはり成績は重要になってくるから、ほとんど全員が本気だ。


 そう、ほとんど。


「「ヤマ当たりますように。ヤマ当たりますように。」」


いつも通り海南さんときいはヤマを張ったらしい。あそこまで教えてやったのに、教えがいのないやつだ。意外なのは、


「ラブコメが出ますように。」


奏が何やら拝んでいること。安心しとけ、ラブコメなんか絶対に出ねぇから。


 初日1時間目は現国。いきなり俺の得意教科。つまり、ここからは落ちるだけしかないということだ。早めにテストを終えて、次の歴史の勉強を始める。範囲全部丸暗記しているから、どうにかなりそうだ。問題用紙の裏にメモをとりながら、時間が来るのを待っていると、チャイムが鳴った。


 そのあとも、何事もなくテストの5日間が終わり、俺たちはいつも通り、俺の席に集まっていた。


「√29だよな。」

「そうそう。」


俺と奏がテストの答え合わせをしていると、海南さんが机を叩いた。


「はいそこ!テスト終わってからテストの話しない!とにかく今は!夏休みどこ行きたい?」


尻尾をフリフリしているのが見えそうなほどウキウキしている海南さんは、してやったりと言わんばかりの顔を浮かべている。


「花火大会!」

「海!」

「キャンプ!」

「誰かん家でゲーム!」


やっぱりこの4つが王道だろう。


「あとは勉強会とか。」

「おい楓、夏休みの課題写そうとか思ってないよな。」

「ソンコトナイヨー。」

「写すなら隣の家のやつがいるだろ。」

「いるけど理系教科以外アテにならないし。」

「もう教えてやらねぇぞ。」

「ごめんなさい、それだけはやめてください。」


奏と海南さんはいつも通り、夫婦漫才をやっている。なんとも微笑ましい光景だ。


「いいんじゃない?そういうのも。何せ課題、早く終わるし。」


今日初めて、熊野さんが口を開く。


「ナイス音羽!その言葉を待っていた!」


海南さんが親指を立てて尻尾をフリフリしている(ように見える)。今年の夏休みは休めなそうだ。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


とりあえず、第1章完結です!

第2章は夏休み編!日毎に追っていきます!若干内容が薄くなったりすることもあると思います。ご了承くださいm(_ _)m


なろうでの連載も始めました!

https://mypage.syosetu.com/2492042/


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