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第32話 俺たちは1学期期末②

 テスト勉強を誰かとするのも悪くはない。しかしだ。


「ねえひい君、ここどうやって解くの?」


バカと一緒にやってたら進まん!こいつと勉強を始めてからかれこれ1時間ほど進むが、問題集がまだ1ページも終わってない!2、3回逃亡を試みたが腕にしがみつかれて、逃げようにも逃げれない。助けてくれ、桜!


「あんた達勉強進んでる?」

「よっしゃあぁぁぁ!」

「何やってんだか。」


やったー!桜が降りてきた!


「勉強終わったのか?」

「キリはついた。」

「俺の言おうとしてることは分かるよな?」

「分からない。分かりたくない。」

「チェンジで!」

「やだ!ったく、何か飲みに来ようと思っただけなのに、ってあれ?久志は?」

「ひい君ならさっきダッシュで階段登って行ったよ。ってことで桜!勉強教えて!」

「はぁ、貸し1ね!」


桜が叫んでいるのが聞こえたが、聞こえていない振りをする。この作業にももう慣れた。いや慣れすぎた。やはり、モブ生活で備わった力はこういう時に発揮されるものだ。


 さて、自分の勉強を始めたら、全く眠くならない。時間は1時、2時、3時とみるみるうちに進んでいき、俺は、問題集を終わらせて、テスト用ノートを読み込んで、更には英単語の総復習まで。新聞配達のバイクの音が聞こえて、朝が近いことを知った。俺はベットに潜り込み、浅い眠りについた。


 騒がしい目覚ましの音で目覚める。カーテンを開けると、さっきとさほど変わらない太陽の光が差し込んでくる。テストは明日から。今日は一日中自習ばっかだろうから、寝ててもいいや。俺は半袖になったカッターシャツに袖を通して、制服に着替えて、下に降りる。


「おはよ。」

「おはよ。」


きいは朝に帰ったのだろうか。普段と何も変わらない光景。杏が朝ごはんを作り、俺が食器を並べる。桜は洗面台に居座り、10分ほど出てこないのもいつも通り。


「昨日、きい姉が来てたんでしょ。夜中までうるさ、騒がしかったし。」

「それどっちも変わらねぇぞ。」

「杏的には別だからOKなの。反抗するなら朝ごはん抜くよ。」

「はいはい違いますねー。」


俺たちは決して仲がいい訳では無い。ただそこにいるから喋る。それだけだ。


「だから寝れてないのか?立派なくまさんぶら提げてるぞ。」

「マジ?頑張って隠したのに。バカ兄、火見といて。」

「はいよ。」


行く直前に弱火にして行ったのによく言うな。まったく、俺の事をどこまで信用していないんだか。


 食べ終わったら洗い物を終えて、ギリギリの登校。この時間ならみんなに紛れて教室に入れる。ってみんなって誰のことだろう。俺には友達が少ないから、みんなの範囲が狭いのかな。まあ、そんな哲学的なことは考えなくていいや。そうだな、全授業寝よ。

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