1学期期末、それは赤点があるかないかでその年の夏休みが満喫できるかどうかが決まる最重要テスト(俺基準)。なのに…
『おい、C取れ、C!』
「bot何やっとんねん!」
『よっしゃブザビ!』
俺たちは今、ゲームに勤しんでいます!
『やっぱ夢とZおるだけで安心感違うわ〜。』
「それこっちの犬がbotやった俺らに言うか?」
『それは乙としか言いようがないわw』
「Damn it!」
『てか、Q、またうるラン入ってるやん。』
「当たり前や!そっちは犬でランキング入ってるからまあまあキモイねんけど。」
『暇やからな〜。そっちのきいは?』
「今俺のチョイスした問題解きまくってるわ、真横で。」
『こっちも楓が問題解きまくってんで、真横で。』
『「サイコー」やわ〜w』
『「お前ら黙っとけ!」』
スピーカーから変な音が聞こえた気がしたが、まぁ幻聴だろう。あと左耳のも。
こういう時頭がある程度いいのは最高にいい気分になれる。桜はずっと部屋にこもりっぱなしだ。
『Qは勉強しなくていいのか?』
「もう2周ぐらいしたし、あとは1回テスト前に見直すだけでいいだろ。今回はテスト範囲早めに終わってたし。そっちも似たようなもんだろ。」
『まぁな、最近小説ずっと読んでるから何となくわかるようになってきた。』
「どんなジャンル読んでんだ?」
『……ラブ…コメ。』
「ぷはぁっ!そんなもんに飢えてんのか?」
『バッ違ぇし。次の始まったぞ!』
今の時間帯は平面のお宝がV字に造られているステージと、段状にお宝が配置されている丘のステージだ。今回の試合は前者の方。単純な回避力が勝負の分け目となる、こともある。
『やっぱQ、ジャス回うめぇな!』
「あざす。おっ無駄回避したな、ほれ頭銃!」
『うわぁ犬でも耐え切れんかぁ〜。でも十拳ぁ!』
「相性最悪。クッソ。」
なんて、かれこれ10試合近くやって俺たちはゲームをやめる。
「きい、どんな感じだ?」
「ひい君の問題がムズすぎてまだ半分もいってない。」
「もう10時だし、帰ったらどうだ?」
「心配ご無用!ママからお泊まりの許可は取ってるから。荷物も持ってきてるし。」
「うっわ、泊まる気満々じゃねぇか。」
「だって、友達と夜中まで勉強も憧れるし、あとお泊まり会も!」
「そりゃつい最近まで陰キャぶってたからな。誘われることもないだろうよ。」
「今でも正真正銘の陰キャだよ〜。」
きいは舌をペロッと出してウインクする。あざとすぎるぞ、お前!
「でも、こうなったからには桜にも来て欲しいなぁ、なんてね!さ〜くらちゃん!あーそぼ!」
「きい、テスト前!絶対イヤ!」
2階から聞こえてきたのは桜の全力の拒絶の声。それを聞いたきいは頬を大きく膨らませて、拗ねてるふりをしている。見えないのに…
「じゃあ、ひい君は残ってくれるよね!」
きいはずいっと俺に寄ってきて言う。
「しょうがねぇな、取ってくるわ。」
よし、いつ逃げよう!