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第20話 俺たちの1学期中間②

 今週に限っては、日曜日の朝は早い。いつもなら昼過ぎまで惰眠を貪るのだが、今日はいつものメンバーが家に来る。8時前に起きた俺は欠伸をしながらブラックコーヒーを淹れる。小鳥の囀りを聴きながら数分間。たまにズズッと音がするだけで、部屋はしんとしていた。


「はあ、飯か。」


重たい腰を持ち上げてキッチンに向かう。6枚切りのパンを2枚出し、フライパンにベーコンを4枚広げ、卵を落とす。焼けるまでの間にレタスをちぎって、パンはトースターで表面に少し焼き目をつける。ここまでの全ての作業をトースターのチンという音に合わせて終わらせ、パン、レタス、ベーコンエッグ、レタス、パンの順で挟む。スティックのエスプレッソ・オレを淹れてソファに座り、サンドイッチを頬張る。テレビではサンドイッチのプレゼンバトルをしていた。そしてまた頬張る。これだけでその店に行った気になれる。


「んんっ、おはよ。」

「おはよ。」


桜が目を擦りながら降りてきた。


「いまなんじ?」

「8時半。」

「あといちじかんはんか…Zzz」


桜は俺の隣に座るなり寝てしまった。目には濃い隈をぶら下げている。


「無理しやがって。」


耳元で規則正しい寝息が聞こえてくる。流石にこのまま寝られるのはマズい。


「(起きろ。イタズラするぞ。)」

「ひゃうっ。」


桜は驚いて体を跳ねさせて、俺を見てぷるぷる震えている。


「顔洗ってこい。」

「ん。」


そう言って桜はパタパタと洗面所に消えていった。俺は6枚切りのパンを1枚取り出し、トースターに入れる。さっきと同じ要領でベーコンエッグを作る。途中でトースターをセットする。今回はしっかりと焼けるように長めだ。チンと鳴ったら先に出して柔らかくしておいたバターを乗せ、またトースターの中に入れて溶かす。皿を準備してあとは待つだけだ。


「なんか手伝えることある?」


寝癖を直した桜が戻ってきた。髪はハーフアップにして、大人びた雰囲気を醸し出している。


「冷蔵庫の中にキャベツの千切りのタッパーあるからテキトーに盛り付けてくれ。」

「OK!」


桜は盛り付けたキャベツにシーザードレッシングをかける。その隣にベーコンエッグとパンを置いて彼女の飯は完成した。


「久志はなんでそんなに料理出来るの?」

「中学生の頃から朝晩は杏と交代で作るようになったからかな。」

「時間管理凄いよね!」

「慣れよ慣れ。」


9時前には桜は食べ終わり、少し掃除をしているとインターホンがなる。


「は〜い!」


玄関を開けてみんなを迎える。久しぶりに騒がしい日曜日が始まった。

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