中間考査までに何があったっけ?確か、授業、授業、授業、授業…。桜の教科書が届くまでの1ヶ月間、机をくっつけて授業を受けていたぐらいか。あとは…、桜に髪を切ってもらって昔の髪型に戻ったぐらいかな。あのときはみんなビックリしてたな。「なんか知らん人がいる」って。そういえばクラブ見学もあったな。帰宅部志望の俺には関係ない話だが。加太くんと海南さんは水泳部に入ったようだ。他はどこにも入らず、帰宅部になった。じゃあ勉強はしたかって?誰がするかよ。ワンピのゲームで同盟を作って最近はずっとやっている。そう、今も。
「何でQは0距離通常でジャス回(ジャスト回避の略)できんねん。」
「桜は未来見えてるよね。」
グループ通話をしながら、4vs4のバトルを何回も繰り返す。全員古参なのである程度は強い。しかし、海南さん曰く、俺と桜、きいは強すぎるらしい。
「Q、今どこらへん?」
「SSの3500ぐらい。奏は?」
「やっぱ高いわ。俺はまだ600。」
「もっと上の人いるぞ。」
「実況者だろ。あれはレベルが違う。」
俺の家に来たとき以来、加太くんのことは奏と呼ぶようになった。入学したときには友達を作ろうとすらしていなかったのに、今はこのグループには居場所がある。一方的であっても友達でいたい。
「来週からテスト2週間前だよな。」
「勉強せな。」
「成績ギリギリだったらどうしよ。」
はあと落胆する奏と俺と桜。すると海南さん。
「2週間も前から勉強するの?」
「「「はぁ?」」」
「それ私も思った!」
「「「はぁぁ?」」」
「高校生だよ。アオハルだよ。何で満喫しようとしないの?」
「いや、成績落ちたら困るし。」
「「そうそう。」」
奏と俺が大きく頷く。すると海南さんがポンと手を叩いた。
「それなら、勉強会しよ!」
「げっ。」
「げってなによQ。折衷案出したんだから褒めてよ。それとも前日まで遊びに付き合わせようか。」
海南さんの膨れ顔が想像できたので、触れないことにした。
「それなら今週の日曜とか?俺ら休みだし。」
「じゃあ日曜ねぇ〜。おやすみ〜。」
今日はこれでお開きになった。机にはマッチング中にやっていた数学の課題が広がっていた。
「よし、やるか。」
俺はもう一度気合を入れた。