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第13話 俺の作文物語

 「何だこの作文(?)は?」


俺は、職員室に呼び出されている。そして今、目の前にいるのは担任のシオちゃん。じゃなくて黒潮岬先生だ。身長は148㎝。もううちのクラス(C組)のマスコットと化している。


「何を微笑ましい目で見ているんだ。」

「いえ、そんな目では見ていません。」

「はぁ、まあいい。で、これに対しての釈明はあるか?」

「僕はただ、高校生活というものを俯瞰で見てみた結果を書き連ねただけです。」

「よし、じゃあ不可だな。」

「それだけはやめてください。」


俺が慌てて止めようとすると、その手を掴んで原稿用紙を握らされた。


「書き直そうか。」

「…はい。」


俺は肩を落として教室に帰った。


 席についても何を書いたらいいのか分からない。とりあえず、前の席で自習している熊野さんに声をかけた。


「熊野さん、こないだの作文再提出だったんだけど、どうしたらいい?」

「ん〜、ちょっと読ませて。てか、桜に頼めばよかったじゃん。」

「桜はあそこだし…あっ。」


僕は慌てて口を塞ぐ。そんな俺を熊野さんはあらあらと言いたげな目で見た。


「こりゃすぐボロが出そうだね。」

「気をつけます。」

「あと、こりゃ手遅れだ。」


熊野さんが原稿用紙を指差しながら言う。


「テーマが腐ってる、中身が腐ってる、ゆえに全部腐ってる。」

「殴るぞ。」

「じょーだんじょーだん。可能性がないとは言ってない。終わりよければ全てよしだ。」


熊野さんは原稿用紙を叩きつけてきた。


「何となく分かった。ありがとう。」

「おう。」


俺はペンを手に取り、続きを書く。


―……

   僕はこの期間がなんたるかを知らない。だからこの高校生活で春が何か。それを見つける高校生活にしたいと思う。―



「これでいいかな?」

「いいんじゃね。」


 始業10分前、俺はまた職員室に歩き始めた。シオちゃんを呼び原稿用紙を出す。


「ふふっ。期待してるぞ。」


シオちゃんからはそれだけだった。


 教室に戻って席に座る。桜が不思議そうな目で見ている。


「何してたの?」

「再提出。」

「そ。」


ぎこちない会話をした。

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