僕の名前はアレクシス。
名門リヴィエール公爵家の一人息子であり、後継者だ。
しかし、誰にも知られてはいけない、僕には重大な秘密がある。
それは、僕がタイムスリップして過去の世界に来ているということだ。
その理由は詳しくは語れないが、一つだけ確かなことがある。
それは、僕が母上を救うために、過去に戻ってきたということだ。
そして、実はもう一人、同じ理由でタイムスリップした人物がいる。
それが僕の父、リヴィエール・エドガー公爵だ。
僕と父は、母上に対して悔いても悔いきれない過去の行いをしてしまった。
だけど、今度こそ、どんなことがあっても母上を救いたいんだ。
でも、最近、母上がちょっとおかしい。
今まで感情が読めない、まるで人形のように冷徹だった母上が、
突然、感情が手に取るように分かるようになったんだ。
それだけじゃない、突拍子もない行動をすることも増えて…
前の母上とはまるで別人みたいだ。
どこか、可愛らしささえ感じてしまう。
こんなこと思うのは変かもしれないけれど、
なんだか…とても愛おしく思えてしまうんだ。
でも、そんな母上を見ていると、どうしても心配になってしまう。
リナ、母上の専属メイドから聞いた話によると、
母上が人目を盗んで窓から飛び降りようとしているらしい。
もちろん、今までそのことを知らなかっただけかもしれない。
でも、きっと母上は過去にも何度もそんなことを考えたんだろう。
僕も父も、母上にどれだけ無関心だったんだろう…
そのことを今、胸が痛むほど感じている。
ごめんね、母上。
こんなにもあなたを無視してきて。
だからこそ、今度こそは、どんなことがあっても母上を守りたい。
絶対に、僕があなたを守ってみせる。
だって、母上は僕にとって、何より大切な人だから。
…そうだ、もし母上が危険な目に合わないようにするために、
僕の部屋に閉じ込めて、二人だけで一生暮らしてもいいかもしれない。
そうすれば、何も怖くないし、母上を守れる。
でも、そうなると父上が邪魔になっちゃうなぁ…
まあ、そのことは、もう少し後で考えるとしよう。
今はただ、母上を守ることが一番大事だ。
だって、母上は僕だけのものだから。
今はまだ、焦らなくてもいいよね。
これからは、絶対に離さないよ。
どんなことがあっても、僕が守り抜くから。