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第21話 報告書:ゲーミング目くらましバリア


『極光迷彩帯甲型 試験評価報告』


 本兵器は、戦場において敵の苛烈なる攻撃に晒される兵士たちの命をひとりでも多く救わんがためというフィオナ・エーデルワイス・ヨルアサ殿下の慈悲の心により作成された新型防具なり。


 これまでの魔法兵器開発に置いて、防御の主眼は敵の放つ銃弾をいかに食い止め、防ぐかという観点に集中せり。それゆえにヨルアサ王国軍の防具は年々重量を増し、可動域は狭まり、行軍の足は鈍重になるなり。


 極光迷彩帯甲型は、装着者を発光させ、その光の強さによって敵の視野を奪うという歴史上類を見ない兵器なり。本兵器が完成した暁には、戦闘による兵の損耗を激減せしことを大いに期待し開発されたり。


 しかしながら極光迷彩帯甲型は、評価試験において諸元を満たす性能こそ発揮したものの、操作性に難がある点、強い光が装着者の健康を害しかねない点等、抜本的かつ致命的な問題点ありと言わざるを得ない。


 本兵器が実戦配備されれば、戦場の混乱は必至かつ、本兵器の考案者たるフィオナ・エーデルワイス・ヨルアサ殿下のまごころをも裏切り、数多の兵士の命を損なうと愚考する。


 以上の評価をもって、本兵器については正式採用を見送る。以後の開発においても、戦略性や根幹技術について再検討を重ね、慎重にすべしと警告する。



付記・本兵器の開発によって得られた知見は、その開発思想の独自性からして唯一無二のものである。今後の魔法兵器開発における大いなる資となることを期待する。



王国歴435年 甕虫かめむしの月12日

魔法兵器開発局

開発局顧問および技術試験隊顧問

クレノ・ユースタス技術中尉


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