『自走式爆裂砲甲型及び乙型及び丙型 試験評価報告』
本兵器はワーウルフ掃討作戦の主力兵器として開発された新兵器である。
兵士の進軍なしに、魔法兵器のみで敵陣に突貫し銃弾を浴びせ、かつ遠隔からの操作が可能な本兵器が配備さることにより、戦争の常識はおろか歴史をも変え得る革命的な活躍が望まれたり。また本兵器が配備されることにより王国軍の損耗を滅するところも大いに期待するものである。以後、自走式爆裂砲標準型を甲型、飛行型を乙型、攻撃強襲型を丙型と呼称する。
実任務においても自走爆裂砲甲型及び乙型は英雄的な戦果を上げたり。敵陣を縦横無尽に走破する本兵器に、ワーウルフは反撃すらできず壊走せり。
しかしながら、周知の通り、本兵器はワーウルフ掃討作戦においてその真の性能を十全に発揮することなく爆裂四散せり。原因については調査中ではあるものの、甲型の走行中に発生した部品の脱落に伴い自走爆裂砲甲型が引火、爆発が甲型及び丙型にも波及し、それぞれの自爆を招いたことが主たる原因であると推察する。
かかる任務失敗による地方軍の損害は甚大なり。
しかしワーウルフ掃討作戦での失態は、決して本兵器に秘められた可能性を損なうものではないと推察せり。丙型が指揮を離れ戦場に放置されていたこと等を含め、今一度、本兵器の取り扱い方法及び安全管理を徹底し、再度評価試験に臨めば、本兵器は当初想定さる通りの評価を得られるものと愚考する。
以上の評価をもって本兵器の報告とする。
願わくは、後任の技術開発責任者が、この報告に目を留め、本兵器が秘めたる資質をつまびらかにし、栄えあるヨルアサ王国地方軍の資とせんことを望む。
王国歴434年
地方軍技術開発局
第三開発室主任研究員
クレノ・ユースタス技術少尉