『試作魔術使役兵甲型試験評価報告』
本兵器の性能においては当初の計画を大きく上まわり、目を見張る効果を上げたり。特にその膂力著しくとりわけ白兵戦において目覚ましい活躍が望まれたり。
されど、惜しむらくは、可搬性、隠密性にはじまる戦地での実用性には一抹の疑問符ありと言わざるをえない。
本兵器の特性上、形状等の変更による機能性向上は難しく、これらの問題への近日中の対処は困難なり。
また、使役を司る魔術の根本的問題点に対する抜本的改善を要するなり。
本兵器が特筆すべき性能を有するが故にこそ、その支配、操作の確実性は戦地の兵士の生命に直結せり。
正式採用を前に、魔術使役についてのさらなる検討と、非魔術行使者の使用を前提とした安全装置の開発は避けざるものであるなり。
以上の評価をもって、本兵器については正式採用を見送り、以後の開発に大いに期待するものとする。
付記・本兵器の開発、試験において得られた知見は今後の魔法兵器開発の根本的問題点を提起したものなり。一兵器の開発に留まらぬ大きな資となったことに疑いはなきなり。
王国歴435年
魔法兵器開発局
開発局顧問および技術試験隊顧問
クレノ・ユースタス技術中尉