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駅前の告白(?)事件


私たちは手を繋いで駅に向かっていた。

さっきカラオケでの出来事を思い出して、自然と頬が赤くなる。


そう、キスもしちゃったし、この人の彼女になるんだっていう期待と喜びが心に溢れてきて、自分かられんさんにぎゅっとひっついた。


れんさんはちらっとこちらを見て、ふわりと私の体を引き寄せてくれる。

その仕草だけで胸が高鳴る。


でも、いつ告白してくれるんだろう?

もう駅に着いちゃうけど、別れ際とかかな?


そんなことを考えていると、いつの間にか無言になっていた。


「どうかした?」

れんさんが少し首を傾けて私を覗き込む。


「いや、なんでもない。ただ、もうデート終わりなんだなって思うと寂しくて…」


そう答えると、れんさんがピタっと足を止めた。

見上げると、目の前の信号が赤に変わっていた。


「ああ、ここ、信号長いんだよな…」


なんてぼんやり思っていたら、れんさんが「あのさ」と小さく呟いた。


その一言に妙な重みを感じて、私はハッとする。


――もしかしてこれ、告白される?


鼓動がどんどん速くなる。

「うん?」と、期待に胸を膨らませながられんさんを見る。


「あのさ……家、行きたいなぁ。」


……ん?


……うん??


突然、世界がザーーッと色褪せていくような感覚に襲われた。

私の中に、ただ一つの言葉が浮かび上がる。



『や・り・も・く?』


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