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少女漫画みたいな恋がしたい…!



「いらっしゃいませ。何かお探しでしょうか?」


「あの、彼女のクリスマスプレゼントを探しているんですが、おすすめはありますか?」


この化粧品ブースでは、普段男性客がほとんど来ることはない。だが、クリスマスシーズンになると、彼女へのプレゼントを選ぶ真剣な表情の男性たちで賑わうのだ。


忙しさに追われ、目の前のお客様に笑顔で対応しながらも、心の中ではそんな彼らを見つめ、ふと「羨ましいな…」と呟く自分がいた。


忙しく立ち働く合間に、ほんの少しだけ切ない気持ちが胸に広がる。でも、その感情をすぐに押し隠して、商品の説明を続ける。


次から次へとやってくるお客様に、笑顔と心の中の小さな寂しさを隠しながら、私は忙しく動き回る。仕事に追われる毎日、恋愛に夢を見ていた少女の頃を思い出しながら、今はただ目の前の仕事をこなすのに精一杯だった。





中学から大学まで女子校生活を送り、社会人になってからも女性ばかりの職場。男性と接する機会はほとんどなく、私の中で理想の恋愛はどんどんと膨らんでいった。


少女漫画のように、ある日突然、運命的な出会いが訪れる――自分の好みにぴったりなイケメンが、どこかから現れると信じていた。けれど、現実はそう甘くはない。年月は流れ、そろそろ現実を見なければならない年齢になった。


幸いなことに、周りにはまだ結婚していない友人もいるけれど、学生時代の同級生たちが次々と結婚していく様子をSNSや噂で聞くたびに、私もさすがに焦りを感じるようになった。


「私には運命の相手なんて現れないのかな…」


そう思い始めたとき、ふと「私はB専だから?イケメンなんて無理、怖いし」なんて強がってみせる時期もあった。




でも、ただ待つだけではダメだと気付き、勇気を出してマッチングアプリを始めることにした。


初対面の人と会うなんて、今まで考えたこともなかったし、正直怖かった。それでも、メッセージを積極的に送ってくれたRさんという男性が気になり、会ってみることにした。


会う前に電話で話したとき、Rさんの優しい声と穏やかな話し方に心が少しずつほぐれていった。たった一時間ほどの会話だったけれど、家庭環境や価値観が似ていることを知り、自然と笑顔になった。もしかしたら、彼との出会いが私にとって運命の始まりなのかもしれない――そんな予感がした。


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