厳かに、『魔法少女裁判』は開廷する。
広い部屋を睥睨するような高みで、
「開廷に当たり、この裁判の『目付』様を紹介いたします」
そう言いながら扇子の先で部屋の奥を
「内務省特別武官の伊集中佐さまですわ。この裁判が正当なものであることと、その結果を補償するために来ていただきました。どうぞよろしく」
伊集中佐と呼ばれた男性は軍刀に身を預けつつ、微動だにしない。隣の直立不動の副官らしき兵士が敬礼を返す。
ものものしさに、すざくはうつむきかげんになる。そんなすざくの手をぎゅっと
「只今より、『魔法少女裁判』を開廷します!!」
黒い礼服を来た壇上の少女が大きな声でそう、宣言する。こーんという木槌の音が会場に響き渡った。
「まずは、この件に関する起訴理由及び内容について。本校ヴィヴォンヌ集会による『魔法少女』を告発する役職として『魔法少女検察審問官』を任命いたします」
すっと、立ち上がる少女。メガネを掛け背が高い少女であった。その制服は通常の聖アリギエーリ高等女学校のものとやや異なり、軍服にも煮ているように見えた。
「ただいま『魔法少女審問検事』に任命された
こほんと軽く咳払いをするやさか。手には厚い帳面を掲げ、それをめくる。
「......
えぇ......とすざくは小さな声を上げる。無理もない。そもそもなぜ、魔法少女がそれほどの罪に当たるのか。それを感じたように検事やさかは、続ける。
「そもそも、なぜこの科学万能の時代にカビの生えたような魔法少女が問題視されるのか。そしてこの華族の子女のみが通う聖アリギエーリ高等女学校で、魔法少女を審問しなければならないのか――それをもう一度整理してから具体的に二人の告発をしたいと思います」
そう言うと、一旦冊子を机の上に放り投げる検事やさか。
興味深そうに背後の軍人はその様子をじっと眺めていた。