学校生活がはじまる。
基本、同室者は同じ学年同じクラスであるのが聖アリギエーリ高等女学校のきまりであった。
燁子がいなくなってからすぐに
喋り方はなんだか男の子のような感じだが、それ以外概ね満足できる同室者だった。
必要以上に自分に介入してこない。暇な時間はずっと外国語の本を読んでいる。
正直、同年代の女の子同士の何とも言えない同調圧力があるようなコミュニケーションをすざくは苦手としていた。その点、
十二時の鐘がなる。
天井が高い大理石づくりの食堂。寮の生徒たちは当然、弁当を持ってこない。朝食と夕食は寮でとるのだが、昼食は学校の中のとることとなる。
ガヤガヤと賑やかな食堂。全学年が一堂に会する訳である。合わせて普段の授業で静かにしなければいけない分、その若いエネルギーを発散しているようにも見えた。
すざくのむかいに座る
『自分にないものを、葦原さんはいっぱい持っているなぁ......』
そんなことを最近すざくは感じていた。
優れた容姿、そして頭脳。
授業を難なくこなす
それに加えて、この容姿。なぜ髪を長く伸ばさないのかは疑問であるが、それでも羨むほどの容姿である。
はっとするすざく。いつの間にか昼食を終えた
そこにいたのは、数人の生徒たち。すざくと目が合うと、なにかにやにやとして口を隠す。
《またか......》
いじめ、というほどでもないがすざくは彼女らのグループによく笑いものにされていた。
この学校では『身分』を何より大事にする。
ここにいるのは華族の家柄の子女のみとは言え、家格も違えば経済的な状況にも大きな差があった。
そのような『低い』存在を見下して喜ぶのが人の常である。
くすくすと笑っている少女たちは、皆元大名家の子女たちである。経済的にも財閥といっても良いような実力者ばかりであった。
一方、
そんな
すざくは大きくためいきをつく。
間違いなく、自分たちの悪口を言っていることが予想されたからだ。
すざくはどうして良いか、もじもじするばかりであった――