目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第53話 マホ、防ぐ

「“フレイム・ウォール!!”」

「うわーん!! 相変わらず全面範囲の炎を放出されてますー! コレ全部防ぐの魔力めっちゃ喰いますー!!」

「頑張って、マホちゃん! あなたが突破されると、ユウカちゃんの詠唱が台無しになっちゃうわ!!」


 炎の四天王さんの技が、どんどん襲いかかってくる中、私はさっきからバリアを貼り続けています!

 必死で攻撃を防いでいる中、ソラ様のそんな応援の声が聞こえてきました!

 そうです! 私の背後で、ユウカさんが呪文のようなものを紡いでいるのです!

 魔力の高まりがビシビシ伝わって来て、コレが発動出来たらとんでもない効果を発揮する事は間違い無しです!

 だからなんとしてでも守り切らないとなんですが……


「ついでに、念のため相手をちゃんと削ってね!! ユウカちゃんの切り札で、完全にトドメをさせるように!」

「それ、防御主体の魔法少女にお願いする話ですかー!? こうして防いでるだけで精一杯なんですけどー!?」


 私は無茶振りをするソラちゃんに対して、ついそんな泣き言を言ってしまいます!

 うう、残り魔力も少ないのに……もう一回ソラちゃんに回復してもらおうにも、はっきりと“後2回”が限度だって言われてしまいましたし。

 1回分だけ回復して貰ったとしても、そのあとは回復無しで十分ダメージを与えられなければなりません。


 もう! 大分無茶な要求ですが、けどお兄さん達も頑張ってるんですよね!

 いいですよ、やってやりますよ!!


「ソラちゃん! あの回復魔法、もう一回使えますか!?」

「使えるけど、あと二回が限度! コレ使ったら、もう一回しか使えないからもうギリギリよ!!」

「分かりました! その一回分でなんとかして見せます!」


 作戦は、立てました!

 大分無茶な賭けになる予想ですが、やってみる価値は大です!!


「なら、行くわよ! “クイック・ロード!!”」

「はい、魔力復活です! 行きます!!」


 そう言って、私は“マジカル・シールド”を解除した!

 その事に、ソラちゃんはびっくりして。


「え、ちょ!? マホちゃん!? 何考えてるの?! あれ、私ちゃんと回復したよね!?」

「馬鹿め、ようやく魔力が尽きたか!! 今度こそトドメだ、“フレイム──”」

「今です! “スフィア・バリア!!”」


 そうして私は、別のバリアを発動させます。

 攻撃を防ぐ魔法は、何も平面だけではありません。球体状のものも、私は持ってたんです。


 “スフィア・バリア”。文字通り球体状のバリアを作成して、攻撃を防ぐ技。

 マジカル・シールドよりは魔力効率は高いんですけど、防御力がちょっと低いのと、人一人包む混む程度の大きさしかないのがネックです。


 つまり、一人用なのでユウカさんとソラちゃんを両方は守りきれません。

 一見、この状況では不適格な技のように見えますが……


「対象、“イフリート!!”」


 私は、そのバリアを“炎の四天王に掛けた”


「“──ウォー、” 何?!」

「閉じ込めた!?」


 私が力尽きたと勘違いして嬉々とした表情をしていた炎の四天王さんが、驚きの表情に変わりました。

 バリアとは、境界を作るもの。

 攻撃を防ぐという事は、外界との繋がりと断つ事。

 つまり、逆に言えば“守る人を閉じ込める事”と同義です。

 なので相手に掛ければ、それは相手を閉じ込める“檻”となります!

 伊達に防御魔法少女を長年やってません! 応用方法はいくらでもあります!


「チイッ! こんなもの!! “フレイム・バーナー!!”」

「ぐうう!? 一点集中で壊すつもりですね!?」


 閉じ込められた炎の四天王が、比較的高密度な火炎放射をバリアに向けて放って来ました!

 先ほども説明したように、比較的このスフィア・バリアは耐久値が低いです。

 そこは、過剰に魔力を注いでカバーします。

 このままではどの道破られますが……


「けど、それを待ってました!! “収縮せよ!!”」

「ッ?!! はぁ!?」

「球体が、小さくなってく!?」


 私は、スフィア・バリアに“小さく”なるように操作しました。

 相手を閉じ込める球体の大きさを、そのまま小さく、小さく、どこまでも小さく!!


「ぐ、お、オオオオオオ?!!」

「野球ボールぐらいの大きさになっちゃった!?」

「ぐ、う……! キツいですね!! けど、コレで……!」


 狙い通りの、展開になった。

 相手の炎の放出に合わせて、収縮を開始。

 相手のコアのダイヤとほぼ同じ大きさまで縮めました。


 しかし、元々相手の身に纏っていた炎と、技として放出した炎。

 それらは消えたわけではありません。

 圧縮して、圧縮して、圧縮した炎は……高密度の、高温になる筈です。

 つまり……


「自分の炎で、自滅しなさい!!」


 過剰圧縮した炎で、ダイヤを焼き尽くす!!

 コレが私が思いついた策です!!


「がああぁああああァァアアアあッ??!!!」

「効いてる! 効いてるわ!!」



 炎の四天王さんが、今までで一番の悲鳴の声を上げています! 

良かった、ダイヤが本当に燃えるか心配でしたけど、スフィア越しでもコアの宝石がどんどん小さくなってるのを確認出来ました!

 このままいけば、消滅間違いなし!

 けど……!


「ごめんなさい、もう維持できません!! ああ!?」

「ええ!?」


 パリーンと、スフィアが割れる音が響きました。

 無理な圧縮と、耐久値の増加の両方の維持はやっぱりキツすぎました!?

 そして大分ダイヤは小さくなりましたが、まだ健在です。

 そこから……


「やってくれたな、貴様ら……!!」

「あわわ……」


 やっぱり、炎の四天王が復活です……!

 その表情は、炎で分かりづらいですけど、すごーく苛立っているようです!

 相手を増やす事なく、寿命を半分以下には削れたとは思うんですけど、やっぱり絶望的な状況です……!


 横の方で、ソラちゃんが最後の回復魔法を使おうか悩んでいるそぶりがあります。


 ──けど、そうだ。どうせなら、“私自身の寿命を代償”に魔力を捻出すれば、まだ──


「──あ?」


 ……そう、覚悟を決めようとすると。何故か、炎の四天王さんが立ち止まりました。

 あれ、一体どうしたんで──?


 ──すると、背後から。“強大な魔力の本流”が立ち上りました。


 ああ、そうか。

 間に合ったんですね、ユウカさん。





この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?