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第51話 カイト、叩く

「おっらあ!! 消火器くらえ!!」


 俺は、担当する事になった炎の四天王に対して、再度消火器をかけていた。

 みるみる炎の勢いは弱まっていくが……


「貴様単独のそれなど!! 俺様の炎を消し去るにはもうほど遠いわああ!!」

「うおあ!?」


 その言葉とともに、熱いプレッシャーがあたりに撒き散らされる!

 クッソ、やっぱ四天王だけあって怖えなあ!?

 50回も会って無かったら、流石にビビって動けなくなってたところだ! というか、初回は実際そうだった!!

 あん時は我ながら情けなかったな!! あの時のお礼、お前に払ってもらおうか!!


「別に、消火器だけが火を消す道具じゃないんだぜ!! 最近だと、こんな道具も売ってるんだよなあ!!」

「相変わらず何を言って……なんだ、それは?」


 俺は懐から、ある“特殊なボール”を取り出した。

 それを、炎の四天王に対して投げつけた!! 炎の体の中に当たり……


「……何も起こらないではないか!! 何がしたいきさ──?!!」


 直後、破裂するボール。

 消火器に入ってるようなものと似たようなものが、炎の四天王の内側で爆発する!


「“消火ボール”だ!! 消化器と合わせると、よく効くだろう!!」

「がああああアアアアアッ?!!」


 これには流石に効いたのか、悲鳴を上げる炎の四天王。

 これで、俺一人でも十分火を消火できる!!

 宝石が剥き出しだ! 今だ!!


「ツエイッ!!」


 俺は、以前ユウカから貰ったナイフを持って、宝石を叩っ斬る。

 うっわ、流石だユウカ。素人の俺でもこのナイフで宝石切れるなんて凄え!?

 そう思っていると、浮かんでいた宝石が割れて地面に落下する! よし!!


「──こ、このお!! またしても、俺様の寿命を半分に!?」

「しかし、ただではすまさん! すぐに復活して、二人の俺様で貴様を……!?」


 しかし砕けた宝石は、再度魔力を垂れ流し、不自然に震え始める。復活の予兆だ!

 させるか!

 割れた宝石が何か言い出しているが、俺は無視してすぐさま懐から“別の道具”を取り出す。

 それは……


「せえいッ!!」


 バキィンッ!!


 その言葉とともに振り下ろされた“それ”──“ハンマー”で、宝石の片方は粉々に砕け散った。

 そう、以前セーブポイントを壊そうとした時と同じやつ。


「────は?」

……砕けた宝石達から、そんな間の抜けた一言が聞こえてくる。

 復活の前兆だった宝石からの魔力と震えが一瞬止まり、まるで一時停止したようだった

 何が起こったのか全然実感出来ず、まだ理解していないみたいだ。

 よし、今の内に!


「もういっちょ、ハア!!」


 俺は、呆けている炎の四天王に反応せず、そのままもう片方の欠片もハンマーで叩いた。

 こちらも綺麗にパリーンと割れ、大半が粉々の破片に分かれていた。


「……さっき、ソラが言ってた事をよく思い出したんだ。お前、“赤いダイヤ”なんだってな?」


 一見ルビーのように見えるが、実際は赤いダイヤ。

 ダイヤと聞いて、思い出した豆知識がある。

 それは、ダイヤは最も固い物質と言われるが、実は宝石には硬さが二種類ある事。

 “モース硬度”と“靭性”だ。


 モース硬度は、引っ掻き傷とかに対する頑丈さ。

 靭性は、割れにくさ、破損に対する頑丈さと思ってくれたらいい。


 実はダイヤモンドって、モース硬度は最高値だけど、靭性はルビーより劣るらしい。

 なので、実はハンマー1発で割れやすい宝石でもあるのだ。

 粉々にするなら、斬りつけるより遥かに効率がいい。


 空中に浮かんでる時はハンマーも何も無かったが、ユウカのナイフで叩っ斬って地面に落とした後なら、ハンマーし放題だ!!


「……思えば、ダイヤって炎で燃える宝石だよな」


 コイツの本体がダイヤなのに寿命があるのって、実際その身を燃やしているからなのかもしれない。

 まあ、そんな細かい事はどうでもいい。


 俺はさらに破片を砕くため、地面にハンマーを連打していた。


「オラオラオラオラオラぁ!!」


 小さな破片も逃さず、細かい粉になるまでハンマーで叩き潰す!!

 ここまでつぶせば、寿命半分ずつどころじゃないだろ!!

 少なくとも、目に見える範囲のものは全て粉状にしたつもりだ!!

 コレなら……!!


『『『『『『──きさ、きさ、きさ、きさ、貴様あああ!!!』』』』』』


 ──と、思ったら。粉状からでもめっちゃ沢山の炎の四天王がギューギュー詰めで湧き出てきた。

 部屋の一角がミッチミチに詰まっている。

 全員怒り心頭の声を上げていた。


あ。コレでも復活するんだ。

 へー。


……うん、もう無理。


「──撤退!!」


 俺は消化ボールとスタングレネード。ついでに、消化器もユウカのナイフで切って中身を破裂させる。

 炎の四天王達は密集状態になってしまったからこそ、全部をモロに食らっていた。


 ぎゃああああ、と何十もの声を聞きながら、俺はマホの背後まで撤退するのだった……




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