──ユウカ、何かするつもりだな!!
俺はユウカ達の方をチラリと見て、彼女が何かを準備しているのを確認してそう感じた。
おそらく、この状況をなんとかする起死回生の一手!
つまり、俺達の役目はそれまでコイツらの足止めをする事だが……
「「「何をしようとしている!! させるかぁ!!」」」
「チイ! 気づいてやがる!!」
やはり、この炎の四天王達もユウカが何かしようとしている事に気付いていた!
俺達を無視して、ユウカに向かって行こうとする炎の四天王達!!
「それこそ、させるかあ!!」
「私を無視するとは、良い度胸だな!!」
「「ぐアアアアアぁッ!?」」
「甘いわぁ!!」
俺とメタルマンが、消火器とアイスレーザーで一体ずつ足止めするが……
チイ! やっぱり一体取り逃がした!!
「“フレイム・ウォールッ!!”」
取り逃がした一体が、また例の攻撃を放つ!!
ユウカ!?
「させません! “マジカル・シールドッ!!”」
「チイ! また貴様かあ!!」
「私がいる限り、何人たりともここから先は通しません!!」
ナイス、マホ!!
マホが足止めしてくれたおかげで、ユウカはそのまま詠唱らしきものを続けられている!
攻撃を止められた炎の四天王が、上手くいかず悪態を付いていた。
「カイト! そっちの一体を受け持て! コレでちょうど一対一ずつだ!」
「ああ、分かった!!」
メタルマンの言葉に頷き、俺は目の前の足止めしていた方の炎の四天王と相対する。
コレで俺、メタルマン、マホの3人が、それぞれ一体ずつ炎の四天王と相対している事になる。
──なんで俺、単体で頭数に入ってるんだろう? ただの一般人だったのに……
ふとそんな事をふと思い浮かべるが、状況が状況で今更なので考えない事にする。
最終的に決めたのは俺自身だ、もう今更うだうだ言ってもしょうがねえ!!
「貴様あ……さっきからよくもよくも……! 貴様の体を消し炭にしてくれる!!」
「やれるもんならやってみろ!!」
マホの“ファイアガード・エフェクト”! あれのおかげで、四天王の炎による攻撃と熱波がかなり抑えられている!
あれのおかげで、一般人の俺でもアイツの攻撃を耐えられてる!
じゃ無かったら、とっくに余波だけで燃え尽きて終わってた!!
コレで俺も、十分戦える!
懸念点は、俺自身戦闘経験がほとんどない事だけど……
50回のループの経験値と、この炎の四天王の戦闘力。
実は、意外とコイツ攻撃バリエーションが少ない。
火力とその不死身性でゴリ押してきたタイプらしく、得意の炎をマホのバフ魔法で耐えてる今、俺でもある程度攻撃を見切る事が出来る。
だからこそ、炎の四天王も苛立っているのだろう。
本来なら、とっくに決着が付いてもおかしく無かったのに、ここまで粘られることなんてほとんど無かったから!
「問題は、足止めにしてもどうするか、なんだよな……」
そう、足止め。そう決めたは良いが、目の前のコイツをどうするか。
つまり、“これ以上相手を増やして良いのか?” と言う問題がある。
ユウカが何かを準備しているのは分かるけど、それだけで決着を付ける事が出来るほどのものなのかは分からない。
少しでも、コイツらの宝石を割って弱らせたほうがいいのか?
それとも、このまま一体だけの状態で足止めし続けたほうがいいのか?
一瞬そう悩み……
「皆、聞いて!!」
「ソラ?」
突如、ソラの大声が響き渡る。
「各自、可能な限り相手の宝石を削って!! もうバレバレだから言うけど、そうすれば後はユウカちゃんがなんとかするから!!」
「──風の精霊よ。我が問い掛けに答えよ。我が身、人の敵に相対する。貴殿よ、その身軽さを示したまえ」
──!!
そっか、なるほど……よっしゃ、方針は決まった!!
「「「バカが!! それを聞いて放置するとでも思うのか!!」」」
しかし、ソラが大声で作戦をバラした以上、炎の四天王達が再度俺達を無視してユウカに攻撃しようと狙い定めていた。
クッソ、させるか……!!
「──あっれー? 炎の四天王、イフリートさん。もしかして、自信無い?」
「「「……なんだと?」」」
と、思っていたら……なんか、ソラがそんな事を言い出した。
思わず炎の四天王もそう言われたのが予想外だったのか、足を止めていた。
ソラ……?
「だってそうでしょう? あなた達の目の前にいる彼らは、全員ただの人間よ? あなた達が本気を出せば、人間なんて簡単に倒せるでしょうに? なのに、何? その人間を無視して、勇者だけを狙うなんて……」
ソラはそこまで言って、大きく息を吸って……
「──そんなに人間に邪魔されるのが怖いんだ? たかが人間如きに足止め──いいえ、違うわね。“さらに寿命を削られるのが”。魔王四天王ともあろう立場の人が? ──ふふ。可愛らしくて、笑っちゃう」
「「「──────」」」
本気で、おかしいものを見たかのようにソラがクスリと笑い声をあげる。
──直後、ゴウッ!! っと、衝撃波が発生する。 発生源は、炎の四天王達。
彼らのオレンジ色だった炎の色が、より赤みがかった色に。
そして部屋の温度が急激に上がり、空気中に僅かにあった水分が全てジュワッと消えている!
「「「ォ、ォ、────ォォォォ────────ッ!!!!!!」」」
最早、声にならない程の呻き声だ。
明らかに炎の四天王の達の怒りが、限界を突破してやがる!?
完全にソラの言葉に頭に血が登ってるようだった! ……炎の身体で、本体宝石だけど!
「いや。別にいいわよ。人間無視して勇者を攻撃なさい? ──怖ーい人間から目を背けて、尻尾を巻いて逃げ惑いながら、ね?」
「「「ァ、ァァ──ァ──────ッ、──舐め、るなあああああ!!!!!」」」
その言葉とともに、ユウカに向かっていた炎の四天王達が俺たちの方に向き直った。
その顔は、炎で出来ていると言えど逆鱗に触れられたような状態だった。
すげーな、ソラ。普段から俺を怒らせているけど、本気で相手怒らせようとするとあそこまで地雷的確に踏み抜いていくのか……
「俺様が、人間を恐怖しているだと!? ふざけるなあ!! ──そうだ、どの道貴様らは全員燃やすと決めていたのだ!! 目の前の貴様を倒してからでも十分間に合うわあああ!!」
「そうだ、そもそも何故あの勇者を警戒せねばならない!? どうせ何をやったとしても、俺様を滅ぼすほどの何かが出来るとは思えない!!」
「よかろう! 思い知らせてやろう!! 俺様の恐怖を、絶望を!! 一人一人、骨の髄まで燃やし尽くして、味合わせてやるぅ!!」
炎の四天王3人共、怒りながら何かを言っている。その姿は、まるで言い訳しているように見えた。
話した言葉は全員違っていても、内容は大体一緒。俺達を先に倒すと決めたようだ。
わあ、ソラの挑発思いっきり効いてるなあ……
俺だったら普通にユウカが一番怖いから、ユウカ狙い続行すると思うんだけど、コイツら本気で俺達から先に倒す気になったんだ、あの挑発で……
それだけ人間を舐め切ってるって事なのか? 魔王四天王としての立場が逃げると思われる事が嫌だったのか?
まあ、こっちにとって都合がいいから構わないけど……
それはそれとして、激昂状態のコイツらを相手しなきゃいけないのは辛いか。
けどまあ、しゃーない! やってやる!!
そうして、俺は気合を入れて目の前の炎の四天王一体を相手する事にしたのだ……