「粗茶ですが」
「あ、ありがとう……?」
ソラに出されたお茶の入ったコップを見て、自称勇者、ユウカと言う女性は戸惑いながらもお礼を言っていた。
おい、この家の主俺何だけど。何お前の家のように受け答えしてんだ。
……俺たちは、あれから自称勇者を連れて、リビングにまで戻って来ていた。
そこで、改めて互いにソファーに座って向かい合いながら、事情を整理しよう、と言う話になったのだ。
ちなみに勇者は、なんかこの家が珍しいのか、座った状態であちこちをキョロキョロ見渡していたりする。
さっき渡したコップだって、興味深そうに見ていた。
まるで外国のホテルにやって来た旅行者のような感じだ。
あと、俺の血のついた服は一先ず脱いで、適当なゴミ袋の中に一時的に入れている。
でもなー、クリーニングに出すにしても、あんな血塗れな服、大騒ぎになるよなあ……
自分で洗濯するにしても、全然落ちないだろうし、どうしようか……
捨てるにしても、そのまま捨てても下手したら殺人事件扱いだ。まじでめんどくせえ……
閑話休題。
それはともかく、目の前の勇者だ勇者。
色々言いたい事はあるけど、とりあえず……
「改めて、さっきは助けてくれてありがとう。マジで助かった」
「ああ、気にしなくて良いさ。勇者として、当然だからね」
そう言って、ヘルムを脱いだ状態の自称勇者はニッコリと笑いながらそう受け答えていた。
く、元が中性的な顔立ちなせいかめっちゃ良い笑顔じゃねえか……
「ところで、一ついいかい?」
「何だ?」
「……この、“透明な袋のようなもので私の足をそれぞれ包んでいる”のは……?」
そう言って、“レジ袋”で包んだ両足をよく見えるように浮かせて見せてくる自称勇者。
ああ、それか。
「ああ、それ。土足で上がられるのが嫌だから、応急処置だ。その鎧、簡単に脱げないんだろ?」
「あ、ああ。脱ぐにしても順番があるから、足だけ先に、と言うのは結構難しくて」
「じゃあ、悪いがそれでガマンしてくれ。じゃ無いと家が汚れちまうからな」
俺はお茶を飲みながら、そう自称勇者にお願いしていた。
とりあえず、話を聞く事自体には俺も賛成だったから家には上げたけど、床を汚されるのは嫌だったからな。
そうすると自称勇者は、はあ……? と疑問の声を上げながらも、ひとまず了承してくれていた。
そんな今の自称勇者の姿を見て、幼女女神がださーい、と言いたいように声を出す。
「なんか間抜けっぽい絵面ー。もうちょっとなんか良い方法無かったの? 仮にも勇者に対して、この扱いは、どうかと思うよ?」
「うっせえ。手っ取り早い方法がこれしか無かったんだ。足裏をウェットティッシュとかで拭くにしても、あの硬い靴裏で歩かれるだけで、フローリングが傷つきそうだったんだよ」
と言うわけで、妥協に妥協を重ねた上で自称勇者にそうしてもらっている。
もちろん、タオルとかも一緒に入れてフローリングが傷つかないような工夫もしていた。歩きづらいだろうが、我慢してくれ。
「ふーん、そういえば雑学なんだけど、日本のスリッパって、元々外国の人を招き入れる際、土足で汚されないよう外靴のままそれに履いて歩き回ってもらうのが最初って知ってた?」
「す、スリッパ?」
「へー、そうなんだー。内にはそれ用の大きなスリッパなんてねえけどな。と言うか、それだそれ。その外国の話だ」
「ん?」
俺は改めて、幼女女神から視線を外して自称勇者に向き合った。
そして、ある事を質問する。
「ユウカって言ったか。お前、どこの国から来たんだ? それに、さっき玄関開けた時の風景は……?」
「ボクの故郷のことかい? ボクは“レジェンダリーエルム王国”が生まれ故郷なんだ。君達と会った場所は、“ローダスト村”の外れの一軒家だね」
「なんて?」
いや、マジでなんて? 何言ってんだこいつ?
レジェンダ、何とか? ローダ何とか村?
いや、村は知らないだけかもしれないけど、そんな国聞いた事ねえぞ?
「知らないのかい? 結構有名な故郷だと思ったんだけど」
「悪いが、全然知らねえ。何だよその王国。そんなの世界地図に乗ってな……」
「そりゃそうよ、カイト」
戸惑っている俺に対して、答えを出したのは隣に座っていた幼女女神だった。
「──だってその子、“世界が違うもの”」
「──は?」
その言葉に、俺は呆けた声しか出なかった。
「だから、根本的に世界が違うの。そのユウカって子のいる世界は、この地球上には無い、全くの別世界よ」
「……はあああッ?!!」
俺は驚きながら、ついとっさにその場で立ち上がってしまっていた。
別世界、つまり異世界って事か!?
「じゃあこの自称勇者も、実際は自称じゃなくて、本当にその世界の勇者って事か!?」
「その通りよ! と言うか、自称って失礼すぎじゃない? 謝ったら?」
「あー? あー……まあ、そうだな。すまなかった」
俺は戸惑いながらも、ひとまず自称勇者……いや、勇者に対して、頭を下げた。
到底信じられないような話だが、女神がいる以上勇者という存在がいてもおかしくはないだろう。
仮にコイツの話が本当だったなら、俺の態度は大分失礼だった事になるからな。
「あ、ああ? いや、別に良いよ。私もすぐ信じてもらえなかった時もよくあったし、こう言うのは慣れてるから」
そんな俺に対して、女勇者は大して気にしてなさそうに振る舞っていた。
そう言ってくれると助かる……
そうして、俺はゆっくりとソファーに座り直して、改めて女勇者を見渡した。
こいつが、異世界の勇者、か……。
確かに、格好は元より、常識とかも違ってたのも、世界が違うと言われれば逆に納得は出来るか……
「と言う事は……悪い、さっきあんたのこと、土足で家に上がった事を怒鳴っちまって。世界自体違うなら、文化が違ってもしゃーないよな。悪かった」
「カイトってさー。怒りっぽいけど、相手の事情を把握したら割とすぐ受け入れて考慮してくれるわよね。その辺美徳だと思うわ」
そう俺の事を、せんべいを齧りながら評価してくる幼女女神。
おい、褒めてくれてるのは嬉しいんだけど、それならもう少しちゃんとした態度で褒めてくれない?
「ああ、いや、別に……寧ろボクの方こそ、こっちの世界のルールを知らなくて悪かった。ボク自身、まだよく把握出来ていないんだ。この場所が、異世界と言われてもピンとこなくて」
そう言って、ポリポリと頬を指先で引っ掻く女勇者。
何だ、そっちも混乱してたのか。
そりゃそうか、互いに異世界人に出会ったばっかのような状態だしな。
そんで、事情を把握してそうなコイツは……
「おい、幼女女神。何でこのユウカっていう異世界人が、この家にやって来たのか分かるか? と言うか、さっき玄関が明らかに別の場所に繋がったのも、もしかして関係あるか?」
「えっとねー……」
なんとか思い返そうとしている幼女女神に対して、先に女勇者が声を上げた。
「それなんだけど、私は女神にあった時、君達のことを教えてもらってたんだ。……とは言っても、夢の中での話なんだけど」
「夢?」
夢って、寝ている時に見ているあの夢か?
俺のその質問に、女勇者はそうだよ、と肯定した。
「ああ。その夢の中である程度説明して貰った後、起きたら枕元に、“鈴の付いたベル”を渡されたんだ。この場所に来るためには、適当な扉にこれを付けてくれと言われていて……実際に付けたら、ここに繋がっていたんだ」
「あ、本体が“マーカー”を渡してくれてたのね。良かったー、ちゃんと作動してくれてるようで。それを付けたら、自動的にこの家のどこかに繋がるようになってたの!」
ほっとしたように、両手を胸元で合わせている幼女女神の姿があった。
ほーん、マーカーねえ?
それを渡したから、この女勇者は我が家にやって来たと。ほーん……
「いやー、作るのにすっごく苦労してさあ! 力の流れを制御して望んだ結果になるように調整するの、すごく難しくて……へビュ?!」
「お、ま、え、は〜!! 勝手に人の家につながるような物、ばら撒いてんじゃねえよ!! と言うか、ちゃんと戻るんだろうなあ!?」
「ひはい、ひはい! ひゃんと、もほにもほるっては〜!!」
自慢げに説明する幼女女神に対して、俺はほっぺたをつねながらそう聞いていた。
幼女女神によると、取り付けた“マーカー”を外せば、接続が切れて元の玄関先に戻るそうだ。
なら、まだマシか……
「全く、酷い目にあったわ……ちなみに、その勇者ちゃんの世界は、簡単に説明すると“魔王と勇者のいる王道ファンタジー世界”よ。実際に魔王がいて、確かその討伐の為の冒険にあなたが出ているのよね?」
「そうだよ。ボクが勇者として、魔王討伐の為の冒険の真っ最中だ。寧ろ、この世界には魔王はいないのかい?」
「いねえよな、そんな奴。いたとしても、漫画とかアニメとかの架空の話だよな」
「うん。こっちの“地球の世界”にはいないよー」
「そうなのか……羨ましいなあ」
女勇者は、目を細めて本当に羨ましそうに俺たちの事を見ていた。
まあ、さっきみたいな猛獣な獣がいる場所ばっかりなんだったら、そう思うのも気持ちは分かるかもしれない。
ところで……
「本題なんだが、何で勇者は俺たちの家にやって来たんだ? 女神に誘われて来たとか言ってたけど、何の用だ?」
「何でも、『私は選ばれた』とか、『セーブクリスタルを使う権利を与える』とか、そんな事を言ってたよ?」
「セーブクリスタル? っていうと……」
あれか。あの女神本体が置いてった奴。
俺はリビングのど真ん中で、キラキラと輝いている結晶を見てそう呟いた。
あれの利用者だってのかよ。ていうか、使うって?
「この場所に女神の分神がいるから、その子に詳しい話を聞けって言われてたんだけど……」
「私の事ね。了解! じゃあ簡単に説明しちゃいましょう!」
こっち来て! っと、幼女女神は女勇者の手を引いて、セーブクリスタルの前に立たせていた。
「これが、【セーブクリスタル】よ! あなたが使う物!」
「これが……どう使えば良いんだい?」
「手を触れて、念じて見て! “セーブする”って!」
「こうかい? せ、“セーブする”? って、うわあ!?」
そう唱えた時、パアアッ! っと、クリスタルが一瞬激しく輝いていた。眩しい!!
……と、思ったら、その一瞬の輝きの後、すぐ光は治って、元の状態に戻っていた。
「い、今のは……?」
「はーい! これでセーブ完了! お疲れ様〜♪」
「ど、どうも……?」
あっという間に終わった作業に対して、嬉しそうな幼女女神とは対照に、勇者は本当にこれでいいのかと困惑した表情をしていた。
疑問に思った俺は、そもそもの事を質問する。
「おい、結局セーブってどういう事だよ?」
「文字通り、記録するって意味よ」
「記録? 何で?」
「そのうち、分かると思うわよー」
あ? つまり今は説明する気ねえと?
そんな事を考えていると、幼女女神は女勇者に向き直り。
「ありがとう〜。これでセーブは無事終わったし、今回はもう大丈夫。帰っちゃって良いよ」
「……へ? えっと、これだけかい?」
「うん! これだけだけど?」
「は、はあ……?」
まさかの最短最速での用事の終了に、女勇者は相変わらず戸惑っていた。
だよなあ……
「お前、それだけの為に呼んだのかよ? 用事短すぎねえ?」
「だって、本当にこれだけだし」
「はあっ……たく、しゃーねえなあ」
あまりにも簡単過ぎる用事だけで、帰すのもあれだったので、俺はゆっくり立ち上がる。
そして、一応女勇者に確認を取る。
「なあ? あんた甘い物とか食べられるか?」
「甘い物? 砂糖とか果物なら、食べられるけど」
「そっか。ちょっと待ってろ」
そう言って、俺はキッチンの冷蔵庫のほうに向かって、扉を開ける。
そして中から、俺のおやつにする筈だったものを持って来て、女勇者に差し出した。
「ほれ、“シュークリーム”だ。ちょっと試しに食べて見てくれ」
「これかい? えっと、頂きます」
そうして、試しに一部だけ渡して、それを女勇者はパクッと一口食べて貰った。
すると、みるみる顔が明るくなっていき、目がすっごく輝いていた!
「な、なんだいこれは!? とっても甘くて、まろやかで、とっても美味しい!! た、確か“シュークリーム”って言ってたっけ!? こんな美味しいものがあるなんて!?」
「食えそうか? じゃあ、丸々一個行けるか?」
「これ、全部もらって良いのかい!? あ、ありがとう! 頂きます!」
そうして、女勇者はワンコのようにハグハグと、大喜びで食べていった。
ああ、クリームが溢れてる、溢れてる。
ティッシュティッシュ……と思っていたら、溢れたクリームすら指ですくって舐めとっていた。
どんだけ気に入ったんだ。
「ありがとう!! とっても美味しかった!!」
「そうかい、そりゃ良かった。二個目もくうか?」
「良いのかい!?」
「ちょっと!? それ私の分のおやつだったんじゃ無いの!?」
「お前はもともと今日オヤツ抜きって言っただろうが!! いや、気にせず食べてくれ」
「え、あの……うん、悪いけど頂きます」
一瞬躊躇した女勇者だったが、甘い食べ物の方が強かったのか、遠慮なく二個目を食べて行った。
食べ終えたら、それはそれは嬉しそうに頬を綻ばせていた。
「ご馳走様でした。ふう、美味しかった……」
「それは良かった。来た甲斐はあったか?」
「うん、とっても」
さて、と。と、女勇者はヘルムを被り直していた。
あの綺麗な顔は見えなくなり、また性別が見た目からじゃ分からないようになっていた。
「それじゃあ、そろそろボクは帰るよ。世界を救う使命を果たさなきゃ」
「大変そうだなあ。頑張れよ」
「うん、ありがとう。……そういえば、君達の名前はまだ聞いていなかったね」
そうして、改めて俺たちに向き合った女勇者。
その言葉に対して、俺たちはちゃんと返事をした。
「そうだっけか? 俺は家入界戸。カイトって呼んでくれ」
「私はソラ! 女神ソラよ! 分神も同じ名前なの! よろしくね!」
「カイトに、ソラ様。うん、よろしく」
そう言って、女勇者は玄関まで向かって行った。
俺とソラも、見送りの為一緒に向かう。
「今の状態で、扉を開いたら元の場所に戻るわよ。戻ったら、“マーカー”をちゃんと外してね」
「分かったよ、ありがとう。それじゃあ、さようなら!」
「おう! 気をつけて行けよ!」
そうして、勇者は玄関の扉を開けて、例の村の中に戻っていき……扉が閉まった。
「……さて、と」
俺はゆっくりと、玄関のサンダルを履いて、扉の取手をギュッと掴む。
そしてそーっと開くと……
「……元の場所だ。元に戻ってる!」
ちゃんと、元の家の前だった玄関先に繋がっていた。
いやー、一安心だ。
「あー、びっくりしたなあ、もう」
「お疲れ様。この程度でびっくりしてちゃ、先が思いやられるわねー」
「元はと言えば、お前が家に繋がる物ばら撒いたせいだろうが」
そこで、俺は思い出す。
そういえば、元々幼女女神の生活用具を買いに行く予定だったと。
1時間くらい女勇者の件で時間を潰してしまっていた。
「おっと、時間がやばいやばい。準備しろソラ。今度こそ出かけるぞ」
「はーい」
俺たちは女勇者の件は置いておいて、当初の予定だった生活用具の買い出しに向かったのだった。
そうして、いろいろな道具や服を買って帰り、濃い1日だった今日はやっと終了したのだった……
☆★☆
──そして、次の日。
「あ〜〜、疲れが取れねえ〜……」
「何よ、だらしないわねえ」
「誰の騒動のせいで、こんなに疲れてると思ってるんだよ……」
俺はリビングのソファで、ダラーんと体を投げ出して横になっていた。
それに対して、幼女女神は元気いっぱいらしいが、流石は10歳時ボディと言った所だろうか。少しだけ羨ましい。
「昨日はお前が襲来するわ、女勇者が来るわ、買い出しが必要だわで大変だっただろうが……」
「女勇者といえば、ユウカちゃん良い子だったわね。礼儀正しくて、理想の騎士って感じがしたわね!」
「そうか? 俺は甘いものが大好きな、普通の女にしか見えなかったけどな。まあ、獣から助けてくれた時はかっこよかったけど」
まあ、もう関係ないか。
俺はソファーに深く腰掛けながら、頭を上げてそう呟く。
「どうせ、もう会う事無いだろうし。セーブとやらはもうやったんだろ? もうここに来る理由も無いはずだしな」
「──うーん、それはどうかしら」
……そんな俺の考えに対して、幼女女神は否定して来るような言葉をつぶやいた。
「……あ? 何思わせぶりな事言ってんだ? まさかあれか? シュークリームか? シュークリーム食べたさにまた来るんじゃねえかって思ってんのか? 流石に何度も来られると面倒だけど……」
「そういうわけじゃないんだけど、単純に……」
……と、そんな会話をしていると。
セーブクリスタルが急に一際輝き出した。
「……お、おお? おああ!? なんだ?!」
「あー、これ……」
ビカアアアッ!! っと輝きだし、部屋中が真っ白になり、そして……
「────あ、れ……?」
「は? ゆ、勇者?」
……昨日別れた筈の勇者が、そこに現れた。
「お、お前。いったいどこから入って……つーかまた土足……」
俺は呆れた声を出しながら、そう声を掛ける。
全く、昨日別れたばっかりなのに、もう再開かよ。シュークリームもう残ってねえぞ。
そう気楽に考えながら、女勇者にまた現れた事情を聞こうと考えて……
「────あ、ああ、ああああああああアアアアアッ?!!」
「ッ??!」
──その気楽な認識が間違っていたことに、俺は漸く気がついた。
その悲痛な叫び声と共に突如、女勇者が急に発狂し出したように取り乱す。
ヘルムを強引に脱ぎ捨て、両手をぺたぺた自分の頭を触っている。
「ある、ある! 首、ある!? 腕も、足も!! 残ってる!!」
「お、おい……?」
その声は、震えていた。並のお化け屋敷に入っただけじゃ経験出来ないような、恐怖と絶望に遭遇してきたばかりのような悲痛な表情で。
大粒の涙をボロボロ溢しながら、女勇者は両膝を付いて絶叫する。
「生きてる、生きてる!? ワタシ、生きてる!? ああ、ああ!! あああアアアぁぁッ!!!」
まるで今この場にいる事自体が奇跡のように、女勇者は自分の体を抱きしめるようにして、そんな言葉を出していた。
……俺は大声を出すなとか、そんな注意する事が出来ず、その有様に言葉を失っていた。
い、一体どうしたってんだ……?
「あちゃー……」
そんな女勇者を見て、片手を額に当てて幼女女神はポツリと。
「──やっぱり、“早速死んじゃったんだ”」
まるで、想定していたミスをただ指摘するかのように。
幼女女神の……ソラの、そんなあっさりとした言葉が、いやに耳に残っていた。
女勇者:ユウカ
本名:ユーカ・ラ・スティアーラ
19歳
169cm
金髪
中立・善
女
魔王と勇者の王道ファンタジー世界からやってきた。
最初のセーブポイント使用者となる。
渡されたシュークリームが大好きとなった。
イケメン女騎士風だが、物腰は柔らかい。カイト達に対してフレンドリー。
……だったのだが、どうも様子がおかしいようだ。
ソラが何か知っていそうだが……