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大つごもり

世界各国の緊張が高まり、世界情勢は極めて不安な状態が続いている。

疫病、紛争、経済格差に民族対立…

世界中どこを見回しても、不安にならない要素が見当たらないくらいだ。
そんな状況なので、世界各国では小さな対立が続いている。

国境間での小競り合い、他国からの移民者の排斥、強国が弱小国をねじ伏せる経済制裁。


大国間では表立って何かしらの対立行動を起こしている訳ではないが、水面下ではかなりきな臭い状況になっているという噂だ。

不安を解消するような兆候も見えず、いつ何が起こっても不思議ではないとも言われている。


もちろん誰だって平和に過ごしたい気持ちは変わらない。

だが大は各国の思惑や利害、小は個人の感情によって、国や人を問わず、何ら解決の糸口が見つからない状況が続いている。


そういった危機感や焦燥感が世界中を覆い続け、人々は希望を見出せないまま、いたずらに時間だけが過ぎていった。


各国ごとの年中行事や節目のイベントで緊張感が和らぐかとも思われたが、それさえも「他国で自分の国の祝い事で盛り上がるなんて何事だ」と言い出す者が出てくる始末で、完全にもつれあった感情の糸は解けることがなく、余計複雑に絡み合ってしまった。




「世界終末時計」というものがある。

「世界の終末(午前0時)まであと何分」かを示している時計である。

もちろん、本当に「午前0時」になってしまったら即終末を迎える…と言う訳ではない。

あくまでも「危険度を示すための情報」であって、「比喩」や「たとえ」の話である。

とは言ってもこの「時計」は、世界の緊張感を世間に示しているとも言える。


毎年一度、「終末までの時間」が見直されているのだが、ここ数年は「終末までの時間」が近づき続けている状態で、直近の時間は「90秒前」と、過去最悪となっている。

今年も時計の「見直し時期」が迫ってきているが、世界情勢は相変わらず改善の兆しを見せない。

大方の予想は「時間が進む」とされているが、一部には「これ以上悪くなることはない」「来年は良くなってほしいという希望」から、「時間が戻る」という意見を出している者もいる。

やはり「このままではいけない」と感じている者も少なからずいる…ということなのだろう。


だがそんな思惑を顧みられるようなこともなく、世界は不安を抱えたまま日を重ねていく。


そして新年を目の前に控えた今日。

「世界週末時計」に手が伸び、その分針を操作する瞬間がやってくる…

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