目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第57話・テイマーの待遇02


「それで―――」


「これはどういう……」


武田さんが熊谷くまがやさん、白波瀬しらはせさんを連れて

戻って来た時には、


俺の足元に、絡んで来た連中が結果として

転がっていた。


「ぐ……は……

 な、何だこのガキ……」


「『無能ノースキル』ってウソだろ……」


「絶対『無効化』や何かのスキルを

 持っているって……」


そこでセミロングの眼鏡の女性が、

ふぅ、とため息をついて、


「その子、雨霧あまぎり君は本当に

 何のスキルも無いのよ。


 単純に強いだけで」


彼女の言葉に、彼らはよろよろと

立ち上がると―――


「チッ! 覚えていやがれ!」


「運が良かったな、スフィア」


「後でちゃんと金、用意しておけよ!」


そう捨て台詞を残し、彼らは去って

いった。


「えっと……

 スフィアさん、という事は女性

 だったんですか?」


俺が思わず問うと、彼女は前髪を両手で

分けて目を出し、


「あ、は、はい。

 あの、助けて頂きありがとう

 ございました」


俺たちに向かってペコペコと頭を下げる。


「しかし、何だって絡まれていたんです?」


熊谷さんが聞くと、スフィアさんは

言い辛そうにしていて……


恐らくこの世界では差別されて当然のような

扱いを受けて来たから―――

説明がしづらいのだろう。


「ええと、実はですね」


そこで俺から、彼女がテイマースキル持ち

なので……

不遇な扱いを受けて来た事を話した。




「そんなにテイマーって不遇な扱い

 なんですか?」


白波瀬さんの問いにも、彼女はきょとんと

していて、


「いやだって、テイムする動物や

 魔物次第では―――

 かなりの戦力になると思うのに」


「ゴブリンやオーガとだって意思疎通

 出来るスキルが、どうしてそんなに

 低いスキルだと思われているのか、

 理解出来ません」


熊谷さん、武田さんも同様の意見で続く。


「……あれ?

 でもそういえば、呼ばれて来た時―――

 何の動物も魔物も連れて来ていません

 でしたけど」


スタンピードのダンジョンまで来てもらった

時、彼女は何も連れていなかったような。


それを疑問に思い質問すると、


「ゴブリン、オーガといった魔物との

 翻訳、とだけ聞いておりましたから。


 それに魔物や動物を連れて行くと……

 おとりや盾、捨て駒にしようとする方が

 多いので」


それで召喚組は、『あ~……』と同意の

表情となる。


それだけ、自分がテイムした『相棒パートナー』を、

大事に思っているのだろう。


「でも、どうしてお金を要求されて

 いたんですか?


 別に彼らはスタンピード派遣隊に

 関係ありませんよね?」


次いで本題の事をストレートに

聞いてみると、


「価値の低いスキル持ちはこんなもの

 なのです。


 高いスキル持ちがいるから―――

 わたしたち、低スキルは生きていけるの

 だからと……」


要は理由を付けた恐喝か。


「あの方たちは知り合い?」


「ええ。

 同じ冒険者ギルドに所属するメンバーで、

 わたしを『迎え』に来た方たちです」


武田さんの問いにスフィアさんは答え、


「つまりそれにかこつけた『役得』って

 ところね」


「どうしてあんなのが王城にいるのか

 不思議だったんだけど、そういう事か」


白波瀬さん、熊谷さんが呆れるように

語る。


「冒険者ギルド、ね……」


そう俺がぽつりと話すと、


「どうかしたの? 雨霧あまぎり君」


『ゴミ捨て場』の街からずっと同行して来た

女性が俺に問い、


「スフィアさん。


 冒険者ギルドに僕を連れて行って

 もらえませんか?」


俺の申し出に、彼女と召喚者3人の

視線が集まった―――




この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?