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第56話・テイマーの待遇01


「今回の報酬は、もうお渡しした

 はずですが……」


そのテイマースキルの人―――


前髪で目が隠れるくらいの長髪で、

性別不明というか、年齢も不詳の人

だったけど、


それが複数の男たちに囲まれていて、


「だからそれじゃ足りないって

 言ってんだろうが!」


「テイマースキルなんざ、誰のおかげで

 生きていけると思ってんだぁ?」


ここは王城だからか、格好だけはそれなりに

まともな衣装を着ているが……

口調は完全にチンピラのそれだ。


「だけど、テイムした子たちの食費とか

 お世話するお金も必要で」


「あぁ?

 俺たちにそんな事関係あるかよ?」


「それで困るのはお前。

 こっちは何も困らない。

 理解出来たか?」


「わかったらさっさとよこせよ」


俺と武田さんの前で、無茶苦茶な

因縁と要求のやり取りが行われる。


特にこの世界に来て、理不尽な目に

あわされ続けていた彼女の手は、

固く握りしめられていて、


「ちょっと行って来ます。

 止めないでもらえますか?」


「ううん、むしろ止めてあげて。

 アタシは他の人を呼んでくるから」


と、武田さんからもOKが出たので、

俺はそのまま騒動の一団へと向かって

行った。




「どうしたんですか?」


俺は片手を挙げながら、テイマースキルを

持つ人に近付くと、


「あ、あなたは……」


俺の事を覚えていたのか、その人は

振り返って声を上げる。


「あぁ?」


「何だこのガキは」


次いで他の連中も俺に視線を向ける。


「いや、そこの人なんですけどね。

 シーライド王国が長年悩まされて来た

 スタンピードを解決した派遣隊にいた

 一員なんですよ。


 その人に何をしているのかなーって」


すると彼らはギョッとした表情で

そのテイマースキルの人から一歩下がり、


「何だと!?」


「スタンピードを!?」


「知らなかったんですか?


 いわばこの国の功労者―――

 その人にそんな事をしているのを

 知られたら、


 王様以下、どう思いますかね?」


俺が畳みかけるように話すが、


「ケッ、だからどうだってんだ?」


「どうせ他のスキル持ちに隠れたり

 していただけだろ?」


「しょせん、動物や魔物と話せるくらいで、

 そいつ自身が強いわけじゃねーし」


うーむ……

スキル差別が強いとはわかっていたけど、

こういう理由でも不当に扱われるのか。


「第一、てめぇは何なんだ?」


「あ、僕もスタンピード派遣隊の一人です」


そう言うと、彼らは顔色を変える。


恐らく俺が強力なスキル持ちだとでも

思っているのだろうが―――


「それで、僕のスキルは『無能ノースキル』です。

 スキルに文句があるのであれば、

 僕の方から聞きますけど?」


その言葉に今度は人をあざけるような

表情に変わり、


「あぁ?」


「けっ、たかが『無能』かよ。

 ビビって損したぜ」


「よくも生意気な態度取ってくれたなぁ?」


と、チンピラギミック全開で俺を

取り囲み……


彼らの『相手』をする事になった。





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