あの後、謁見の間から移動し―――
俺と武田さん、
4人は、大きな会議場のような部屋で
王やその側近と対峙していた。
「しかし、非戦闘系スキルの者や召喚者に
対する扱いはわかりましたが……
よく反乱とか起こされませんでしたね?」
俺がストレートにそこに切り込むと、
「そのような召喚者に対しては、
人質としての価値を
全員が全員、有用なスキルでも無し―――
また召喚者は敵でも味方でも命を失うのを
極端に嫌う傾向がある。
おかげで従わせる事が出来ていたのだが」
王が
どうやらアスタイル王国より、直接的な
手段で支配していたようだ。
そう考えるとあそこはまだ、一応建て前とは
いえ、協調を考えていたんだな。
「まあもう、その手は使えなくなって……
召喚者たちは恨み
けどね」
かつて『ゴミ捨て場』の街に軟禁され、
虐待を受けていた武田さんは―――
自身の経験も相まってか無表情で話す。
「そこまでは望むところでは……」
「責任は取ってもらうけど―――
殺し合いになるのは避けたいわね。
ここにいる召喚者たちは何名ほど?」
熊谷さん、白波瀬さんの言葉に
ように……
彼らは素直に話し合いに応じていった。
「う~ん―――
殺害は無いけれど自殺者がいるって
いうのは……」
話を前面で聞いていた男女のうち、
男性が眉間にシワを寄せる。
「こればっかりはね―――
アスタイル王国でも死者は出たけど、
それは王国の協力者の、同じ召喚者の
手によって、というものであったし。
死者が出ている以上、
和解も手打ちも出来ないわ」
続けて女性の方も、大きくため息をつく。
「シーライド王国としては、どれだけの
謝罪と賠償をするつもり?」
武田さんが話に割って入ると、
「そもそも、非戦闘系スキルの者に対する
謝罪など……
考えた事も無い」
「和解するにしろ―――
無い限り、難しいと思われる」
王の側近たちが、
まあ確かに、それまでの価値観を一気に
「もし強硬しようとすれば?」
俺の問いに、王と側近たちは顔を見合わせ、
「余の退位で済めば良いが……
下手をすればクーデターが起きる!
非戦闘系スキルの者など、生きている
価値も無いと思っているヤツも多いのだ」
今度は俺たち4人が顔を見合わせる。
「アスタイル王国でも―――
多かれ少なかれ、被差別対象だった
からな」
「謝罪もダメ、和解も難しい……
それで人質を取られていた召喚者たちが
納得するかしら?」
熊谷さん、白波瀬さんが脱力したように
肩を落とす。
「とにかく、話し合いは必要でしょう。
ひとまずシーライド王国の召喚者たちとの
交渉の場を設けてはもらえませんか?」
俺がそう言って、そのまま武田さんに
目線を送ると、
「そうですね。
いったん、召喚者だけで話し合って
みた方がいいと思います」
彼女の提案に、渡りに船とばかりに
彼らは飛びつき―――
こうして、この国の召喚者たちと
交渉する運びとなった。