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第4話・報告と対応


「ほう、あの子が?」


「は、はい!

 1人は足を折られ重傷、もう1人は剣で

 攻撃したところ、へし折られたそうで―――」


光郎みつろうを城外へ送致していた兵士たちは、

帰還後、その顛末てんまつを報告していた。


それを聞いた、いかにもな魔導士風の格好をした

男は、その陰湿そうな表情を崩さず考え込む。


「グリーク様!

 あれは反射リフレクトスキルでは!?


 もしそうだとしたら大変な事に」


「そうですねえ……


 ま、要検討としておきましょう。

 君たちは下がって怪我の治療をしなさい。

 すぐに治癒師ヒーラーを手配しますから」


「ははっ、そ、それでは……!」


あたふたと逃げるようにその場を後にする

兵士たちを見送り―――

グリークと呼ばれた彼は考え続ける。


「あの子のステータスはほぼ全てが

 空欄だったはず。


 ただ、あの年にしてはやけに堂々としている

 印象がありました。


 もしかしたら、高度な隠蔽いんぺいスキルでも

 あったのかも知れませんねえ」


そこへ身分の高そうな二十代の女性が

やって来て、


「どうしたのだ、グリーク。

 あのハズレの処理は終わったのか?」


「アンク王女様……


 ええ、ちょうど今その報告を受けた

 ところです。


 何の問題もなく、いつも通りに……」


「わかった。

 それと今回の召喚、当たりも多かったぞ。

 引き続き召喚システムの改善に尽くすがよい」


それだけ言うと、王女は去って行った。

そしてそれを確認するかのようにグリークは

周囲を見渡し、


「誰か」


「ハハッ!」


彼の声と共に、盗賊のようにフードをかぶった

男が数名現れ―――


「今回、召喚者をゴミ捨て場へ移送した

 兵士たちの事ですが。

    ・・・・

 全員、ねぎらうように」


「……何か連中、不始末でも?」


男たちの1人、恐らくリーダー格であろう

人物が聞き返すが、


「余計な事に興味を持つ事はありません」


「これは失礼を。では、速やかに……」


「いい心掛けです。長生き出来ますよ」


そして彼らはその場から影が無くなるように

消え去り、1人残ったグリークは天井を見上げ、


「まあどうせ、あのゴミ捨て場に行くより

 他は無いでしょう。


 使えるようになっていたとしても―――

 しばらくあそこで生活させた後の方が、

 『交渉』しやすいでしょうし」


不敵に口元を歪ませると、彼もまたその場から

立ち去り、無人の空間が残された。



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