「ふむ―――」
兵士たちが馬車で去った後、俺は森に入り
ある検証を行っていた。
俺は何のスキルも選ばなかった。
それは間違いない。
連中は
いたが……
確かに、恐らく俺の背中を蹴ろうとした兵士の
足は折れ―――
そして斬ろうとした剣は叩き割られた。
だがどちらも手応えというか、衝撃のような
ものは感じた。
「う~ん」
俺は森へ入るとすぐ、近くの木々や大きな
岩を攻撃してみた。
俺の親父はある道場の
その経緯で俺も武術を学ばされていたのだが、
試してみると相当な破壊力があった。
3・4メートルの高さの木の幹は真っ二つ。
岩は粉々に砕け散り―――
いくら何でもこんな力は無かったはず。
そして普通に触る事は可能で、そこは
ホッとした。
何でもかんでも破壊するスキルなんて、
たまったものじゃないからな。
そして俺は次に……
運が悪ければ出てくるという魔物を森の中で
探し続け、
大きな黒ヒョウのようなモンスターと遭遇。
だがそれも、俺への攻撃は全て衝撃は与える
ものの……
向こうの両前足がダメージを受けていき、
戦闘不能となってしまったので、仕方なく
俺がとどめを刺した。
そしてこれらの検証の結果―――
「どうも俺への攻撃は、『衝撃は与えるものの
ノーダメージ』らしいですね。
そして俺の攻撃はしっかり何倍にもなって
通ると。
無茶苦茶過ぎます……」
何というか、いうなれば格闘ゲーム。
通常攻撃はガードさえしていれば衝撃は
受けるが、ノーダメージ。
つまり俺に当たり判定はあるが攻撃判定はない。
そして俺がする攻撃はしっかり相手に入って
しまう。
それも
どうしてこうなった?
どうしてこうなった?
と、困惑してもこの森には俺1人。
誰も答えてくれる人などおらず―――
「考えられる点としましては」
もしかしたら……
あの自動音声のようなシステム。
あれがプログラムだと仮定すれば、
この世界に来るための認証システムとも
考えられる。
スキルを得る代わりに、この世界の
合わせるのだ。
だが、『何もスキルを選ばない人間がいる』
事に対する答えが―――
用意されていなかったんじゃないか?
結果としてスキルを設定出来ず、かと言って
スキルが無い場合の処理をする事も出来ず、
この世界の理に当てはまらない存在……
『バグ』を生み出したのだとしたら―――
「まあわかっている事は1つ。
この国……アスタイル王国と言いましたっけ。
コイツらは敵、という事です」
自分の能力の検証が終わった後は、ちゃんと
現状を把握し、
「さて、ひとまず―――
ここを突っ切ったところに町があるはず。
そこで一休みさせてもらいましょう」
そして俺は、森を抜けるために歩き始めた。