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第2話・ではここで空気を読まない見本を見せるとしよう


「あのう、これからどこへ行くの?」


馬車に力づくで乗せられた俺は、兵士たちに

両隣りに座られた状態で揺られる。


「まあ運が悪かったと思え」


「少なくとも命までは取らねぇからよ」


もはや『邪魔者』という態度を隠すつもりも

なく、威圧的いあつてきに語る。


こういう場合、普通の子供なら……

まあ大人しくしているのだろう。


ただ俺は子供じゃない。

そして親父の影響からか、事ある毎に

定番以外の行動を取る。


ではここで空気を読まない見本を見せると

しよう―――


「すいません、この国では……

 拉致や誘拐は犯罪にならないのでしょうか?」


俺の言葉にわかりやすく反応し、両脇の兵士が

肩を揺らしてギロリとにらんでくる。


「だってこれってどう見ても誘拐ですよね?


 本人の合意も無く勝手にこちらの世界へ

 連れて来たんですよ?


 それが普通に行われているって事は、

 そういう国なのかなあ、って」


「オイ、ガキ!!

 あんまり舐めた事言うと―――」


「止めとけ。

 どうせこのガキはあのゴミ捨て場行きだ。


 そこに行けばもうナマイキな事は言えないさ」


どうやら、特定の場所に連れて行かれる事は

確定らしい。

それもあまり待遇は期待出来ない、と。


そして俺は馬車に揺られ続けた。




「オイ、着いたぞ」


兵士の声に外に目をやると、うっそうとした

森が見える。


「あの森ですか?」


「あそこを突っ切った先に町がある。

 お前みたいな出来損ないを集める場所だ」


「たまーに魔物が出て来たりするがな。

 よほど運が悪くなけりゃ死ぬ事はない。

 ま、せいぜい頑張れよ」


俺は馬車を降りると、周囲に目をやる。

すると俺の両隣りにいた兵士も降りて来た。


「おい、なかなか高そうな服着ているよな。

 それ脱いでけ」


「そーそー。

 もうお前には必要ない物だしよ」


俺の前後に立ち、チンピラのような言動を取る。


「誘拐の後は強盗ですか?」


俺の言葉にカッとなったのか、前方の兵士は

怒りをあらわにし、


「いい加減にしやがれ、クソガキ!!」


「いいから脱げってんグギャァアッ!?」


そして後方から何か衝撃と叫び声がした。


振り返ると、足があり得ない方向に曲がった

兵士が倒れていて、


「何だ!?

 確かコイツは『無能ノースキル』のはずだぞ!!」


それはその通りだ。

第一、俺は何も選んでいないし、ステータスも

何も表記されていなかったはず。


「クソおっ!!」


と、いきなり前方の兵士が剣を抜いて

襲い掛かって来た。

『あ、ヤバ』と思う間もなく、俺は反射的に

片手を前に出すがそのまま斬られ……


『バキン!!』


金属音が響き―――

なぜか剣の方が折れてしまった。


そして俺と兵士は視線を合わせる。

多分、お互いに驚いた表情をしていただろう。


「な、何だお前は……!?

 これは『反射リフレクト』スキルか!?」


「え、えっと……僕にも何が何だか?」


すると片足が折れていた兵士が、折れていない

方の足で、ぴょんぴょんとはねながら、


「チクショウ、戦闘スキル持ちだとは

 聞いてねぇぞ!

 お、おい! ここはひとまず退け!!」


「クソッ、わかった!

 まさかグリーク様の鑑定が間違って

 いたのか……!?」


そんな事を言いながら彼らは馬車へと撤収し、

そのまま走り去っていった。



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