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第4.5話 ???によるゲームストーリー解説?



視点:???

場所:???



 カイトがいる世界は「悲しみの蘇芳花スオウバナ」というゲームが元になっている世界だ。

実際には少し違うが、その認識の方が分かりやすいだろう。



「悲しみの蘇芳花スオウバナ



 カイトの前世でコアな人気があったRPGゲームってやつだ。


 魔法がある西洋中世っぽい世界『アドミストア』で、主人公クレアが壁にぶつかりながら勇者へ覚醒していき、最後は復活した魔王を倒すというストーリーになってる。


 これだけ聞けばザ・王道ストーリーだと思うだろうが違う。

 このゲームのジャンルは『ダークファンタジー』、つまり死人もそれなりに出るし救いも少なめなのだ。ストーリーも当然暗い。


 そもそもタイトルの蘇芳花スオウバナ

 これはハナズオウという花の別名だが、花言葉には『裏切り』といかにも暗そうな意味合いが込められているんだ。


 というかゲーム内で裏切られるだよクレアが。



 誰が勇者クレアを裏切るのかって?

 クレアの想い人、偽勇者カイトさ。



 ゲーム通りに進むならカイトが前世を思い出し、気絶したさっきから約1年後だったはずだ。


 1年後に偽勇者カイトはクレアを『厄災を呼ぶ者』としてヴァルハラ王国から追放しやがる。

 しかも追放した後はヴァルハラ王国の精鋭を連れてクレアを追いかけ始めるんだ。単に好きな女を追いかけるためじゃない。クレアの息の根を止めるためにだ。


 確かクレアが追放される半年くらい前か? ヴァルハラ王国に漂っていたが広がってて、それと同じタイミングでカイトとクレアの仲も悪化していくんだ。

 その悪化がどんどんエスカレートしていって……唐突に追放宣言を受けて破局するって訳さ。


 だが今のカイトはクレアに惚の字。

 かけがえのない人として見ているし、当然クレアを追放する気は全くない。おかしいだろ?


 でももし。

 カイトが洗脳されていたとするなら?


 それなら全くおかしくないな。勇者を始末したい奴が偽勇者カイトを操ってクレアが死ぬように仕向けた。


 少し強引だがこれなら辻褄が合うだろう。 


 さっき言ってたもアレ、洗脳魔術の亜種だからな。光の力センサーでカイトが嫌な空気と言ってただけで。


 ……え、誰に洗脳されるって?



『───自分の父親が敵』



 そりゃにだよ。

 カイトの父親代わりだ。

 経緯は省くがアイツの目的は人類の破滅だ。だからその手段として魔王を復活させようと、裏で色々暗躍してるって訳。

 表だといい父親ツラしてるのに、人ってのは怖いね〜。


 表では誰もが尊敬する優しくて頼れるロイ。

 そんな風に接しておけば誰も疑わないし、実際に彼は人類にとって有益な行動をしているもんだら、高い地位につけた上に信頼も厚い。


 え? なんでロイ大臣は人類崩壊を目指しているのに、人類に有益な行動してるかだと?


 簡単な話さ。


 天敵の勇者さえどうにかしときゃあ、復活した魔王1人で人類を滅ぼせるからだよ。

 そんだけ厄介なんだアイツは。おかげではここで待機するしかねぇ。


 とにかくロイ大臣の環境に話を戻そうか。

 にはロイ大臣をどうにかしてもらわなきゃいけないからな。


 奴は難攻不落の城みたいなもんだ。

 ロイ大臣を疑う所からしてハードルが高いし、疑って敵対行動をとれば奴を信頼している人達まで敵にまわっちまう。

 そしてその取り巻きをどうにかしても、勇者並みに強いロイ本人が待ち構えているんだぜ。

 ……クレアはよく突破できたな。代償としてゲームの結末がビターになるのは分かるが。


 で、カイトの視点からすれば難易度ベリーハード、いや前世の世界だとルナティックとも言うんだっけか?


 カイトはクレアを守りたい。

 カイトはクレアと共に世界を救いたい。


 カイトの願望を守り通すには、まず父親代わりになるロイ大臣を


 だからお前にはまず……



 ──前世のデータをカイトに譲渡できました。カイトの魂変化率は許容範囲内、いつでも現実世界に戻せます。



 ……おっともう時間か。

 じゃあもここまでか。俺の独り言に付き合ってありがとな

 どうせこの記憶は忘却されるが安心しろ。いつかまた思い出すさ。

 だいぶ後でな?



──???の認証確認。カイトの魂を現実世界に返還します。



 さて、俺にできるのはここまでだ。

 から後はお前の武運を祈るとするよ。



──現実世界返還まで、5、4、3



 だからいい加減、じゃなくて夢の中で目覚めやがれ。



──2、1……



 テメェの本当の戦いはもうすぐ始まるぜ?



──0

 カイトを『アドミストア』に返還成功






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「……ぁ、ここは、どこだ?」


 そうしてカイトはで目覚めた。















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