せめて夢の中で。
過去をやり直すことができるなら……。
別に大それたことを成し遂げたい訳ではない。
カフェで悩んだあのメニュー。山を外したあの試験。あの日うまく伝えられなかった言葉……。
それで何かが満たされるなんてことはない。
夢から覚めれば、また消えてしまうのだから。
満たされたそばからまた滑り落ちていく、時計の砂のように。
それでもまた、僕は時計を返し続ける。何もないこの白一色の世界で。
もう一度。君と過ごせる日々がくることを祈って。