目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
明晰夢

 せめて夢の中で。


 過去をやり直すことができるなら……。


 別に大それたことを成し遂げたい訳ではない。


 カフェで悩んだあのメニュー。山を外したあの試験。あの日うまく伝えられなかった言葉……。


 それで何かが満たされるなんてことはない。


 夢から覚めれば、また消えてしまうのだから。


 満たされたそばからまた滑り落ちていく、時計の砂のように。


 それでもまた、僕は時計を返し続ける。何もないこの白一色の世界で。


 もう一度。君と過ごせる日々がくることを祈って。

コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?