いったいどこで間違えてしまったのだろう。
わずかな光も差さない暗がりの中、聞こえてくるのは豚の鳴き声ばかり。
例の都市伝説の存在は知っていた。でも彼女に限って……。
そう思ってしまったのが運の尽きで、この現状があるというわけだ。
いや、彼女のせいみたいに言うのはよくないか……。
「彼女にだったらたとえ豚にされても構わない」当時は本気でそう思っていたはずなのだから。
もう戻れないところまで来てしまってから、その覚悟が揺らいでしまった。ただそれだけの話だ。
狭く息苦しい地下室。敷き詰められているのは数多の
かつて人間だった頃、同じ種類の動物同士はお互いの言葉が分かる、根拠もなくそう思っていた。
しかし今でも、
それはそもそも豚という種に言語の概念がないからか。あるいは
まがい物同士対話もできず、過ぎる日々。人にも豚にもなれない
その歪んだ悦びだけを糧に、虚無の日々を生き長らえ続ける。いや、いっそ虚無ならばどれ程よかっただろう。畜生道というものがもし実在するのであれば、まさにこの事を指すのかもしれない。
そんなときだった。
「またどうか、いらしてくださいね」
彼女の優しい声が聞こえた。
ああ。君のことは何も知らないけれど、一つだけ言えることがある。
「
わずかな光の差す方向。僕は必死に
だがそんな僕を待っていたのは、顔面に押しつけられたいつも通りの革の味だけだった。
***
「まったく……。ダメじゃないですか……。誰が勝手に出てきていいなんて言いました?」
彼が無事に外の世界へと帰った後。聞こえてくるのは、
「まったく……。これで満足ですか……?」
悦びの啼き声を上げ、流涎を撒き散らす
「うわ……きっしょ……」