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模倣犯―絶対にマネできない犯行―
模倣犯―絶対にマネできない犯行―
古芭白あきら
文芸・その他ノンジャンル
2024年11月15日
公開日
512字
完結済
「俺に真似できない犯罪はない!」――はずだった……

数々の未解決有名事件を模倣し、警察も犯人も震え上がらせる天才模倣犯。彼の手にかかれば、どんな事件も手口を暴かれ模倣されてしまう――三十億円事件、金座金塊強奪事件などなど。

だが、その天才模倣犯を嘲笑うような事件が起きた。

――『連続ATM強奪事件』!

それは彼のプライドを粉々にした驚異の犯罪だった!?
天才模倣犯をして絶対にマネが出来ない完全犯罪とは?

絶対にマネできない犯罪


 俺は天才模倣犯。


 俺に再現できない犯罪は無い!


 世の中を騒がした数々の有名事件――三十億円事件、金座金塊強奪事件etc……などなど


 どんな難事件も手口を看破し、完璧に模倣し、世間をより騒がせ、警察を嘲笑あざわらってきた。


 犯罪者達も手口を模倣され、自分の正体がバレたんじゃないかと戦々恐々としていることだろう。


 フッ、どんな犯罪も俺の手にかかればチョロいぜ――そんな風に思っていた時期が俺にもありました……



 俺は世間を騒がせている『連続ATM強奪事件』の現場へとやってきていた。


「無理だ」


 現場を一目見て衝撃を受けた。


「この事件ヤマは模倣不可能だ」


 自惚うぬぼれていた自尊心を見事に打ち砕かれた。


 犯人の取った手段は分かる。


「それでも真似ができねぇ!」


 なんたる屈辱だ!


「あ、ありえねぇ」


 無惨に破壊された自動ドアの奥、ATMが根こそぎ奪われていた。


「やはり間違いない」


 警察が頭を悩ませている事件の手口は分かったが模倣できない。


 には不可能な犯罪。


「俺……足洗おうかな?」


 無力感と絶望感に襲われ、己の卑小さを痛感しちまった。




 ちょうど犯人達がATMを担いで通り過ぎて行く。



「「ウッホ、ウッホ、ウッホッホ~!」」



 『連続ATM強奪事件』――それは2頭のマウンテンゴリラによる力技の犯行だった。

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