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第36話

俺と敬都はB&Kという美容室に決めた。

B&Kは男性が一人で経営している美容室で、男子生徒が希望ということと家から近かったのもあり、この美容室に決めた。

今日は2日間の職場体験の1日目である。

職場体験は職場に合わせた服装でいいということで、B&Kの方に電話すると「私服でいいよ」といってもらえたので、今日は愛とデートしたときに着た洋服といつものように髪の毛をセットしてお店に向かった。

途中で敬都と合流したが、敬都も最初に出会った時とは見違えるほど髪の毛のセットが上達している。

あれからも続けて練習しているのだろう。


「こんにちは」


「あ~君たちが職場体験の子たちだね」


「はい。今日から二日間よろしくお願いします」


「君たち2人さ、そのセットは自分でやってきたの?」


「はい!ダメでしたか?」


「う~~~ん.....めちゃくちゃいけてるじゃん」


「はぁ...」


「最近子たちはセットが上手だとは思っていたけど二人ともすごく上手だね」


「ありがとうございます」


「まず自己紹介からだね。俺の名前は山田大輔です。名字でも名前でも好きな方で呼んでくれていいから」


「はい。松岡瑞樹です。二日間よろしくお願いします」


「僕は中村敬都と申します。よろしくお願いします」


「了解。瑞樹と敬都だね。二日間よろしく」


流石美容師さん。初めて会って数分で会話の主導権は握りつつ俺たちの緊張をほぐしながら喋りやすい空間を作ってくれている。

俺も敬都も人見知り気質があるからこそ、このような方はありがたい


「それで今日から二日間体験してもらうんだけど、ざっとうちの店のことについて説明するね。うちの店は見ての通り俺が一人で経営しているお店でスタッフも雇っていないから、カットからシャンプーからドライヤーで仕上げまで全部一人でやっていて、マンツーマンスタイルでやっているから同じ時間帯にお客さんが重なることは基本的にない。それに予約制だから飛び込みで入ってくる人も少ないからある程度余裕をもって体験してもらえるかなと思う。これがお客さんの回転率を重視しているお店だったら、高校生にかまっている暇がないほど忙しくなって体験すらできなくなってしまう可能性もあるから、その点ではうちの店は気軽にやっていいから」



「僕たちは何をすればいいでしょうか?」


「まずは掃除全般をやってもらおうと思う。一人でやっている分、掃除が行き届いていないってよく嫁に怒られるんだよ。って今結婚しているんだこいつって思っただろ」


「いえそんなことは...(ちょっと思っていました)」


「まぁいいけど。明日ぐらいに嫁が店に寄るって言ってたからその時はよろしくな」


「「はい」」


「とりあえず、営業前に棚の掃除とタオルをたたむ作業をお願いしようかな」


俺は棚掃除、敬都はタオルをたたむ作業を始めた。

職場体験が美容室に決まった日から美容室のことはちょっとだけ調べた。

今俺たちがやっていることは「アシスタント」という立場の人がするらしい。


「山田さん、美容師さんってアシスタントとスタイリストってわかれているんですよね」


「瑞樹ちゃんと勉強してきたんだな。偉いぞ」


「ちょっとだけですが」


山田さんは美容師について話してくれた。


美容師になるためには美容専門学校を卒業しないといけないこと。

そして美容専門学校には2年間通う昼間過程と3年間通う通信課程がある。

昼間過程は俺たちが今学校にいっているように毎日行くスタイルで、通信課程は働きながら学校に通うスタイルらしい。

美容室に就職すると昼間・通信関係なく「アシスタント」という立ち位置からスタートする。

アシスタントをしながら練習したり経験を積んだりして髪を切る人、スタイリストに昇格するというのが美容師の流れらしい。


「なるほど。今の話だと通信課程の方が働きながら学校に通うからスタイリストになるのがはやいんじゃないですか?」


「敬都いい質問だね。確かに「経験」という点でいえば通信の方が早く積めると思うけど、髪を切るのには国家試験に合格しておく必要があるんだ」


「髪を切るのに資格がいるということですね」


「正解!!」


「それなら山田さん的にはどっちがいいとかあるんですか?」


「どっちがいいとかは一概には言えないけど、国家試験を確実にとるためなら昼間過程の方がいいかもしれないと思っている。通信過程は美容師としての経験を積むことはできるけど、国家試験の勉強は働きながらになるから、ただでさえハードな仕事に勉強も同時進行となるとしんどくなるかもしれないなと思う。ただ、そこの部分をクリアできてさえいれば通信課程の方が資格をとったあとに即戦力になれるのは確実なメリットだと思う。それに経験を積んでいればスタイリストになれるのが早くなれる可能性があるから給料面も違う。どうしてもアシスタントとスタイリストでは給料面が違ってくるから、アシスタントの給料の安さと仕事のきつさで辞めてしまう子は多いからね。う~~~ん。結論その人次第かな」


「美容師さんも大変なんですね。なんか俺たちからみたらおしゃれな洋服着て、おしゃれな髪型してキラキラした仕事にみえているから、こうゆうリアルな話は勉強になります」


「多分キラキラしたイメージで就職してくるから実際になったときの現実と理想のギャップで折れちゃう子がおおいんじゃないかなとは思うけどね。まぁその辺のリアルな部分も踏まえてこの二日間経験してみてよ」


そして俺たちは開店準備を終えて職場体験1日目のB&Kがオープンした

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