持久走大会は完走はしなかったものの、愛とさくらさんの勝負はさくらさんの途中リタイアである意味愛の勝ちで幕を閉じた
ちなみに顔面蒼白で最後まで走り抜いた敬都のことを俺たち3人は褒めたたえて、3人で夜ご飯を奢ってやった。
敬都は嬉しそうにご飯を食べて、その後しっかり吐いていた。
流石に3キロ死に物狂いで走った後に焼き肉の食べ放題は胃に応えたみたいだ。
なんとなくこうなるかもしれないなと思っていた俺はちょっとだけ申し訳ないと思った
本当は焼き肉の食べ放題はテストの結果で勝負するはずだったけど、テストの勝負はまた別の何かを考えることにした。
そして1週間後すべてのテストが返却された。
うちの学校はなぜかは知らないが、すべてのテストの採点が終わると担任にテストの答案用紙は預けられ、まとめて返却されるようになっている。
他の学校では教科ごとの授業でテストは返却されるはずだけど、ちょっと変わった学校なのかもしれない。
「お前ら~。お楽しみにテスト返却だぞ」
クラスの生徒たちの反応はそれぞれだ。
返却が楽しみな人、テストの存在を記憶から消している人、どうでもいい人
俺はどちらかというと今回は頑張ったから楽しみな人だ
「採点ミスや気になるところがある人は放課後に担当の先生のところにいくように」
全員にテストが返却されたところでホームルームは終わり、俺たちはテストの点数を確認していた
テストの返却の時にさくらさんと愛が先生になんかいわれていたけどなんだったんだろう
「みんなでテストを一斉に並べようよ」
「それは公開処刑ですか?」
敬都の気持ちもわかる。
この成績上位の二人の横に落ちこぼれ陰キャの二人のテストを並べるのは公開処刑でしかない。
しかしさくらさんの迫力俺たちは圧倒されてテストを差し出すことに
愛
国語 90点
英語 82点
数学 93点
世界史 87点
化学 94点
合計 446点
桜
国語 88点
英語 98点
数学 92点
世界史 85点
化学 90点
合計 453点
瑞樹
国語 65点
英語 70点
数学 62点
世界史 58点
化学 53点
合計 308点
敬都
国語 73点
英語 38点
数学 68点
世界史 62点
化学 58点
合計 299点
「えっ愛ちゃんに私勝ったの?」
「う~~~~。さくらに負けた」
「初めて愛ちゃんに勝ったかも」
「だってさくら、英語の点数良すぎでしょ」
「あ~。さっき先生から学年トップっていわれたもんね」
「私は化学が学年トップって言われた」
「でも合計点数じゃ私の勝ち」
「勝負なんてどうでもいいと思っていたけど、実際に負けたら悔しい」
「へへへ。私の悔しさを愛ちゃんも味わいなさい」
「さくらの意地悪。次は負けない」
2人の笑っている姿をみて俺は自然と笑みがこぼれた。
それにしても二人の成績が良すぎて、先ほど敬都が公開処刑といったのが現実になってしまっている。
2人の答案用紙の横に並んでいる俺たちの答案用紙はまさに公開処刑のような点数である
「瑞樹さんや」
「なんだい敬都さん」
「俺たちの目の前にあるお方々は化物ですか?」
「わからないが。さっき先生が今回のテストはいつも以上に平均点数が低かったとおっしゃっておったがこの二人の点数はいつも以上にいいのは化物で間違いないんではなかろうか」
「瑞樹さんや」
「なんだい敬都さん」
「答案用紙を燃やしに行こうか」
「それはいい考えだ」
「これそこの二人。次のテストの時はテスト勉強しっかりやろうね」
「みっちゃんには私が教えてあげる」
「特に敬都の英語は学年トップの私が教えてあげる」
「瑞樹さんや」
「なんだい敬都さん」
「語尾が可愛くなっているのになんか悪寒を感じるのは気のせいかな」
「それは多分気のせいではないな」
「それにしてもさくらさんの英語の点数ヤバいね。そして敬都の英語の点数もやばいね。敬都が英語の点数普通にとれていたら合計点数で負けていたもんね」
「英語は苦手なんだ。だって俺たちは日本人なんだから」
「あ~英語をできないやつの名言頂きました」
「ねぇ愛ちゃん。これが私の役割の一つなのかもしれない」
「役割の一つ」
「持久走大会の日、愛ちゃんが「教える」「支える」は私の方が優れているっていってくれたでしょ。私は前を走るよりも後ろから支えながら走るほうが向いているのかなって」
「それがあっているのかは私にはわからないけど、違ったらまた変わればいいんだよ。私はみっちゃんと付き合い始めて変わっている途中だよ」
「愛ちゃん変わっているの?」
「うん。みっちゃんと出会うまでさくら以外の人とは話してこなかったし、頑張っている理由も自分のためでしかなかった。でもみっちゃんと付き合いだして「みっちゃん褒めてくれるかな?」「みっちゃんはかっこいいって思ってくれるかな?」とか気づけば自分のためじゃなくてみっちゃんのために頑張ろうと思えている自分がいる。それに中村のこともみっちゃんと付き合っていなかったらこんなに話す間柄にもなっていないと思う。みっちゃんと付き合って自分の視野が広がって、他の人たちと関わるのもいいなって思えるようになった。これは私にとっては大きな変化なんだと思う」
「愛ちゃんはすごいね。私も変われるかな」
「大丈夫。さくらは変われるよ」
「ありがとう。今回は愛ちゃんに1勝1敗だったけど次こそは勝つね」
「へへへ。私も今回実際に負けて悔しかったから今度は負けないよ」
瑞樹と敬都の知らない間に上位陣の新しい戦いが始まっていた。
~テスト返却が終わりとある日の夜~
ピコンっと携帯の音が鳴った
俺はいつものように漫画を読みながら夜を過ごしていた
「こんな時間に誰かな?」
差出人はさくらさんだった。
「さくらさん?」
さくらからのメッセージには画像が添付されていた
何気なく確認しよう想いメッセージを開いた
ぐふっ
画像を見た瞬間顔面に強めのストレートを食らったような衝撃を受けた
さくらさんから送られてきた画像は
クマさんのパジャマを着た愛だった。しかも耳付きのフードまでかぶって
この画像を見るだけで俺は愛の彼氏になってよかったと心の底から思えるほどに。
確かにテストの日にさくらさんが
「それなら勝った方が負けた方に好きなパジャマをきてもらうのはどうかな?」
「パジャマ?」
「そう。愛ちゃんのクマさんパジャマ姿とかみてみたくない?」
といっていたことを思い出した。
あれは本気でやってしまうのがさくらさんの行動力のすごさだ。
そしてそのあと愛から恥ずかしさのあまり変な言い訳のメッセージが届いた
内容は「さくらが着れってうるさいから」とさくらさんの強引さが文章から伝わった
その後愛から続けて画像付きのメッセージが届いた
すぐさま俺はそのメッセージを開いた
ぐふぐふっ
先ほどが顔面にストレートを食らったとしたら、今回はボディに2発ほどいいパンチを食らった時のような衝撃を受けた。
画像はさくらさんのメイド服姿だった
「愛ちゃん何か思いつく?」
「それなら私が勝ったらさくらにメイド服姿になってもらうおかな。さくらのメイド姿絶対可愛いから」
確かに愛が言っていたけどさくらさんのメイド服姿の破壊力はすさまじい。
おそらくこの画像をクラスに流しでもすれば被害者が出てしまうだろう。
テストはさくらさん、持久走は愛という1勝1敗の結果から両方罰ゲームをするようになったのだろう。
それにしてもクマさんのパジャマはまだ理解できるが、メイド服は誰のものだろうか。
今度さらっと聞いてみよう。
愛のメッセージの後にさくらさんから怒気のこもったメッセージが届いていたが
とりあえず、さくらさんのメイド服姿は敬都に送ってやることにした
すぐに既読が付き返信がきた
「これはどこの天使ですか?」
「僕たちはこの画像をみて殺されたりしない?」
「待ち受けにしたいぐらい可愛いな」
連続でくるメッセージは敬都のテンションを表していて面白かった。
「真紀~~~」
「何お兄ちゃん」
「これみて」
「え~~~。可愛いすぎる。天使降臨してんじゃん」
「そうだろ」
「それで、私にこれを見せてどうしたいの?」
「敬都が気持ち悪いから、真紀と母さんの可愛いパジャマを着て敬都に送ってやろうかなって」
「それ私も入る必要ある?」
「一人じゃ恥ずかしいだろ」
「仕方ないな」
こうゆうときにノリがいいのがこの妹のいいところでもある
そして俺はカエルのパジャマ、真紀は馬のパジャマ。なぜ馬のパジャマがあるのかは知らんが、兄妹で謎テンションになり2人でパジャマをきて3人に送った。
すると
「愛ちゃんが滅されました」
「待ち受けにします」
「カエルのパジャマの男によって現実に引き戻されました」
各々からすぐさま返事が届いた。
敬都への効果はある意味抜群だったようだ
ちなみに俺は二人の画像をしっかり保存した。
真紀もパジャマを提供する代わりに画像を送る取引をしたので送ってあげた。
この日はみんなぐっすり寝れたといっていた。